2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06636
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
大野 尚仁 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80152213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 禎之 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (60222634)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スギ花粉 / 自然免疫 / 獲得免疫 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスギ花粉中に含まれる病原体関連分子パターン物質(PAMPs:pathogen-associated molecular patterns)による生理活性を評価し、スギ花粉成分の持つアジュバント活性とその活性化機序を明らかにすることを目的として検討を進めた。 本年度は①スギ花粉の分画とβ-glucan(BG)の抽出②スギ花粉による in vitro での免疫誘導解析③スギ花粉とその抽出物による免疫応答に対する作用の解析を行った。 ①の成果:スギ花粉は弱アルカリ性緩衝液により水溶性BGを抽出でき、不溶性画分は密度勾配遠心法により比重で細胞と殻の画分に分離可能で分画することによりBG抽出効率が増加した。②の成果:誘導した細胞での検討の結果野生型(WT)マウスの骨髄由来樹状細胞(BMDC)によるサイトカイン誘導が顕著に観察されたがDectin-1KOマウス由来のBMDCではこのサイトカイン誘導が抑制されていることが明らかになった。③の成果:花粉の経鼻投与の結果WTマウスと比較しDectin-1KOマウスでは血中全IgG量、血中花粉抗原特異的IgG量、血中全IgE量、血中花粉抗原特異的IgE量のいずれも増加が抑制されている結果が得られた。このDectin-1KOマウスとWTマウスとの血中パラメーターはポジティブコントロール群(経鼻投与前Alum投与群)ネガティブコントロール群(Saline投与群)では差が見られなかった。 以上の検討により花粉成分の持つDectin-1に依存した一連の免疫応答への作用が明らかになった。次年度以降は花粉成分による免疫活性化機序を明確化するための検討及び花粉BGの持つアジュバント活性の評価についての検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度実施予定の花粉の分画及び抽出法の検討から活性比較が可能となる分画方法が確立した。またin vitro, in vivoともに花粉分画品の活性評価を行う免疫学的パラメーターを明確化することができため。
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Strategy for Future Research Activity |
分画した花粉並びに糖鎖特異的酵素で処理した分画花粉を用いてin vitro, in vivoの両者の検討を行う。また分画花粉と他家アレルゲンであるオボアルブミン(OVA)を用いてOVA特異的な免疫パラメーターを評価することで花粉の持つアジュバント活性について明確化する。
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Causes of Carryover |
納品時の割引による差額 次年度物品費として使用予定
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