2019 Fiscal Year Research-status Report
Intracellular signal pathways that are involved in the regulation of fibrinolysis by vascular endothelial cells
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18K06638
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山本 千夏 東邦大学, 薬学部, 教授 (70230571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤江 智也 東邦大学, 薬学部, 講師 (20780886)
原 崇人 東邦大学, 薬学部, 助教 (90805681)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 線溶系 / t-PA / PAI-1 / カドミウム / 鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
線溶はプラスミンがフィブリン血栓を溶解する現象であり、その活性は血管内皮細胞に由来する線溶タンパク質である組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)およびプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1型(PAI-1)のバランスに依存する。しかしながら、その合成調節を介在するシグナル経路はほとんど不明である。本研究は、内皮細胞の培養系を用い、t-PAおよびPAI-1の合成調節を担う細胞内シグナル経路を3つの視点から解析する計画である。(1)線溶タンパク質発現に対するカドミウムおよび鉛の毒性を担うシグナル経路の解析. (2)線溶タンパク質発現を担うシグナル経路の有機-無機ハイブリッド分子を分子プローブとした解析. (3)細胞増殖因子/サイトカインによる線溶タンパク質発現の調節を介在するシグナル経路の解析. 今年度は、ヒト血管内皮細胞株(EA.hy926 Cells)を用いての実験に細胞を変更した。(1)の解析では、カドミウムと鉛の線溶系に対する毒性発現に関与するシグナル経路について検討を行った。特にカドミウムの毒性発現については、いくつかの経路の関与が明らかになりつつある。(2)にある有機-無機ハイブリッド分子については、数種類の亜鉛錯体についてt-PAあるいはPAI-1の発現誘導を引き起こすこと、さらにそのメカニズムについても検討に着手することができた。 令和2年度は最終年度であるので、研究実施計画に基づいて報告をまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、研究に用いる細胞をより効率よく研究を遂行するためにヒト血管内皮細胞株(EA.hy926 Cells)の導入に関し、実験条件の検討に時間を取られてしまったが、今年度はようやく軌道にのせることができた。さらに、カドミウムおよび鉛の線溶系に対する毒性発現に関与するシグナル経路、亜鉛錯体について線溶タンパク質の発現とそのメカニズムについても検討に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるので、まだ着手できていない「細胞増殖因子/サイトカインによる線溶タンパク質発現の調節を介在するシグナル経路の解析」に取り組みたい。研究計画で成果がまとまりつつあるカドミウムによるPAI-1の産生に関するシグナル経路に関しては、研究成果をまとめ、学会で報告し、論文化に向けて準備を行う予定である。また、それ以外の成果についても研究成果をまとめられるよう取り組みたい。
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Causes of Carryover |
細胞を変えたことにより実験条件がかなり異なり、その検討に時間を要したために計画通り研究が遂行されなかった。その遅れにより次年度使用額が生じてしまった。最終年度では、計画的に予算を支出してしてゆきたい。
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