2018 Fiscal Year Research-status Report
リボソームRNA前駆体のプロセシング制御と核小体ストレス応答をつなぐ分子機構
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18K06640
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
長浜 正巳 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60281169)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リボソーム生合成 / 核小体ストレス / RNAエキソソーム / rRNAプロセシング / AAA ATPase / PICT1 / MTR4 / NVL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等真核生物におけるリボソーム構築の異常は、核小体ストレス応答を誘導し、p53経路を経て細胞増殖の抑制へと至る。し かし、これらの過程を結ぶ分子機構については、不明な点が多く残されている。申請者らは、シャペロン様AAA-ATPase NVL2の制御下において、MTR4-Exosome複合体(RNAヘリカーゼとエキソヌクレアーゼよりなる)が、rRNA前駆体のプロセシングに機能することを明らかにしたした。この複合体を基質RNAへとリクルートするアダプターとして、酵母ではNop53が見出された。またヒト細胞では、核小体ストレス応答を制御するがん制御因子PICT1がこれに対応する分 子であると考えられた。本研究では、MTR4-Exosome複合体とPICT1 の相互作用に着目し、rRNAプロセシングの異常と核小体ストレス応答を結ぶ品質管理機構について、これらの因子が果たす役割の解明を目的とした。まず、MTR4-Exosome複合体、PICT1およびNVL2の分子間相互作用を解析するために、ヒト細胞を用いて、各因子をノックダウウンし、共免疫沈降により各分子間の結合を解析した。その結果、PICT1はMTR4との結合を介してRRP6を含む核エキソソームと結合していることが示された。また、酵母Nop53においてMtr4との結合に重要なアミノ酸配列(AIMモチーフ)がPICT1でも保存されていたことから、これらに変異を導入し、MTR4との結合を解析した。その結果、PICT1においても、AIMモチーフがMTR4との結合に重要な役割を果たしていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MTR4、核エキソソーム、PICT1、NVL2の相互作用について、ヒト細胞を用いた免疫沈降により確認することができた。また、PICT1への部位特異的アミノ酸置換の導入により、それらの結合の性質について確認することができた。以上のことより、本研究は当初の計画に沿って、概ね順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
リボソーム生合成におけるPICT1の機能を中心に解析を進める。また、MTR4-Exosome複合体が、リボソーム前駆体粒子の成熟過程において、特定の段階で適切にリクルートされるために、PICT1が 果たすアダプター機能についてさらに検証を行う。まずPICT1をノックダウンし、rRNA前駆体のプロセシングにおける機能について、 パルス-チェイス法およびノーザンブロッティングにより検討する。また、これまでの研究で作成した変異型PICT1を発現させ、ドミナントネガティブ変異体としての働きを検証する。さらに、PICT1を構成因子に含むリボソーム前駆体粒子を、ショ糖密度勾配遠心および共免疫沈降の併用により特異的に分離し、質量分析により構成成分を明らかにする。さらに、核小体ストレス応答におけるNVL2およびMTR4-Exosome複合体の機能解析を行う。PICT1の発現低下は、ユビキチンリガーゼMDM2とリボソームタンパク質との結合を促進させ、p53の安定化を導くとされている 。この核小体ストレス応答において、NVL2およびMTR4-Exosome複合体の関与を、各因子のノックダウンにより検討する。核小体 ストレス応答は、MDM2とリボソームタンパク質の結合を測るレポーターシステム、またはウエスタンブロッティングによるp53 の検出により検討する。また、プロテオーム解析で新たに見いだしたPICT1結合タンパク質についても、ノックダウン を通して同様の解析を行い、この経路にかかわる新たな核小体ストレス応答の制御因子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究用試薬の使用を節減できたため、その分の費用を次年度の試薬購入に充てることとした。
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Research Products
(9 results)