2018 Fiscal Year Research-status Report
心血管疾患予防・治療への応用を目指した新たなビタミンK機能の解明
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18K06644
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中川 公恵 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (90309435)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ビタミンK / MK-4 / UBIAD1 / SM22α / コンディショナルノックアウトマウス / 心臓 / 心筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトが主に摂取しているビタミンKは植物由来のビタミンK1(フィロキノン:PK)であるが、生体組織中ではビタミンK2(メナキノン-4:MK-4)が最も多く存在している。PKをMK-4へ変換する酵素は、UbiA prenyltransferase domain containing 1(UBIAD1)であり、UBIAD1は個体発生に必須の役割を担う。しかし、各組織でUBIAD1によりMK-4が変換生成する生理的意義は明らかではない。ゼブラフィッシュUBIAD1変異体は、血管形成不全や心肥大により発生後早期に致死となるため、ビタミンKは心血管系において重要な役割を担っていると考えられる。本研究では、心血管系特異的UBIAD1欠損マウスを作出し、ビタミンKの心血管系における機能解析を目的として研究を遂行している。 心血管系特異的UBIAD1欠損(CKO)マウスとして、平滑筋特異的に発現するSM22α依存的Creリコンビナーゼ発現マウスを用いて、Cre/loxPシステムによりSM22α-Ubiad1-CKOマウスを作出した。CKOマウスは正常に出生したが、生後6~8週齢で雌雄ともに全ての個体が死亡した。死亡前より血圧の上昇や脈拍の低下が見られ、心肥大及び肺水腫が観察された。造影剤投与下で心臓のCT解析を行った結果、左心室の拡張も認められた。心臓の組織標本を作製してHE染色し、組織像を観察した結果、心筋繊維の断裂や空胞の形成が認められた。現在、心臓及び血管における種々の遺伝子発現変化について、各組織より得たRNAを用いてReal-time RT-PCRにより解析を行うとともに、免疫組織染色により心機能関連因子の発現を組織学的に解析している。また、細胞レベルでの解析を行うため、CKOマウスよりマウス胎仔由来心筋細胞の初代培養を行い、心筋細胞機能変化の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初予定通り、UBIAD1(flox/flox)マウスとSM22α-creマウスを用いてSM22α-Ubiad1-CKOマウスを作出することに成功し、表現型解析を開始することができている。非常に著明な心機能異常が観察されていることから、計画に従った内容の解析を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りに作出したSM22α-Ubiad1-CKOマウスの表現型解析を実施するとともに、血管内皮細胞依存的cre発現マウスを入手することにより、血管内皮細胞依存的UBIAD1欠損マウスの作出も行い、血管平滑筋細胞及び血管内皮細胞の両細胞におけるUBIAD1及びMK-4の機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
血管平滑筋特異的UBIAD1欠損マウス(SM22α-UBIAD1-CKOマウス)の作出にやや時間がかかり、また、出生マウスが出生後比較的早期に死亡する表現型であったことから、生存率の評価を優先したため、当初計画よりも種々の解析を進めるのが遅れたことが要因である。また、血管内皮細胞特異的cre発現マウスの購入を計画していたが、SM22α-UBIAD1-CKOマウスの表現型が非常に著明であったため、その表現型解析に集中した解析を進めたことにより、血管内皮細胞特異的cre発現マウスの購入時期をずらしたことも要因である。次年度は、SM22α-UBIAD1-CKOマウスを量産して表現型解析を集中的に行う他、血管内皮細胞特異的cre発現マウスの購入も計画している。
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