2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K06650
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
山口 朋子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 幹細胞制御プロジェクト, 研究員 (50580130)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マスト細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人の約3割が罹っているアレルギー疾患において、マスト細胞は重要な役割を担っていることが知られている。マスト細胞は骨髄中の造血幹細胞に由来し、結合組織や粘膜などの末梢組織において最終分化するが、末梢組織での分化・成熟化のメカニズムは明らかになっていない。これまでに、我々はマスト細胞の成熟化に伴ってある転写抑制因子の発現が上昇することを明らかにしている。そこで本研究では、目的遺伝子の遺伝子欠損マウスを作出し、マスト細胞の分化・成熟化における役割を明らかにすることを目的とした。昨年度までに、目的遺伝子のエクソン3から5をLoxP配列で挟む設計のターゲティングベクターを用いて樹立したマウスES細胞をマウス胚盤胞にインジェクションすることで、キメラマウスを作成し、さらに得られたマウスをCAGプロモーター下でCreリコンビナーゼを発現するマウスと交配することで、目的遺伝子を欠損したマウスの作出を行った。また、遺伝子欠損マウスを用いて、粘膜型マスト細胞(MMC)及び結合組織型マスト細胞(CTMC)を検討した結果、腸管に存在するMMC数に有為な差は観察されなかった。一方、耳介組織や腹腔内に存在するCTMC数はGfi1遺伝子欠損マウスで有為に減少していた。以上の結果から、目的遺伝子はマウス生体内において、マスト細胞の分化を制御している可能性が示唆された。そこで本年度は、マスト細胞と近縁関係にある好塩基球の前駆細胞やマスト細胞前駆細胞の割合などについて検討した。その結果、好塩基球前駆細胞数には有意な差は観察されなかった。一方、マスト細胞前駆細胞数は遺伝子欠損マウスで有為に減少していた。以上の結果から、マスト細胞前駆数が減少することで、耳介組織や腹腔内に存在するCTMC数が減少したことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定通り、昨年度までに作成した遺伝子欠損マウスを用いて、さらに詳細な解析を試みた。これまでに、遺伝子欠損マウスにおいてCTMC数が有意に減少していることを新たに見出したことから、今年度は特にマスト細胞と近縁関係にある好塩基球や前駆細胞に着目し解析を行なった。まず、骨髄中に存在する好塩基球数について解析を行なった結果、野生型マウスと遺伝子欠損マウスにおいて有意な差は観察されなかった。また、好塩基球前駆細胞数についても解析を行なった結果、野生型マウスと遺伝子欠損マウスにおいて有意な差は観察されなかった。以上の結果から、目的遺伝子は好塩基球の分化には影響を及ぼさないことが示された。次に、マスト細胞前駆細胞数について解析を行なった。その結果、マスト細胞前駆細胞数は野生型マウスと比較し、遺伝子欠損マウスで有為に減少していた。以上の結果から、目的遺伝子は耳介組織や腹腔内に存在するCTMCの分化だけでなく、マスト細胞前駆細胞の分化にも影響している可能性が示された。したがって、本年度は概ね予定通り研究は進行している。また、本年度は、マスト細胞の分化に重要な因子を探索する本研究中に、MMCの分化に関わるような因子を新たに見出した為、本研究成果を学術論文として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により、遺伝子欠損マウスにおいてCTMC数やマスト細胞前駆細胞数が減少していることを新たに見出した。そこで来年度は、予定通り野生型あるいは遺伝子欠損マウス由来骨髄由来マスト細胞をマスト細胞欠損マウス(C57BL/6w-sh/w-shマウス)に移植することで、目的遺伝子がマスト細胞分化に及ぼす影響についてさらに詳細に検討する。さらに、遺伝子欠損マウスにおける結合組織型マスト細胞の機能を検討するため、IgE依存的な脱顆粒応答能を血管透過性試験にて評価する。
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Research Products
(1 results)