2019 Fiscal Year Research-status Report
がん診断法への応用を企図した細胞外小胞上に発現する分子会合体の解析
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18K06663
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小谷 典弘 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (90342782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 昌弘 三重大学, 工学研究科, 特任教授(研究担当) (20183494)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Extracellular vesicle / 2分子会合体 / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、がん細胞膜上の分子同士が特異的会合体を形成する現象について以前より研究を進めてきた。これら分子会合体形成はがん細胞膜上だけでなく、がん細胞から分泌されるexosomeなどの細胞外小胞(Extracellular Vesicle: EV)上でも形成されていると考えられる。近年、血清中のがん細胞分泌EVを早期診断に利用する研究が注目されており、血清中のがん細胞分泌EV上に特異的に形成されている分子会合体を同定できれば、新規がん診断法の開発に寄与できるのではないかと着想した。従って、本研究ではEV上の分子会合体情報をがん診断に応用するための基盤研究を実施することを目的とする。 今年度は以下の2つの研究を実施した。 1)昨年血清からEVを精製する手法を開発したが、それを用いて、マウス血清EVを正常マウスおよび肺がんマウスそれぞれから精製した。それぞれ複数匹のマウスから精製し、EMARS反応をかけ、解析・比較したところ、肺がんマウス特異的な2分子会合体を同定することができた。 2)同定した2分子会合体を定量的に測定するために、ELISA測定系を構築した。EMARS反応を行ったサンプル中の標識された当該2分子会合体をサンドイッチELISAにより定量的に測定することが可能になった。 3)ヒトがん患者血清を収集し、上記マウスと同様の解析系を構築する準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、ヒトのEVについて研究を進める準備ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒトの血清検体について、肺がん患者特異的2分子会合体を同定する作業を行う。さらに、そのELISA測定系を準備し、定量的な計測を行う。 また、これまでのEVを使用した2分子会合体解析は、同じく脂質膜粒子である、ウイルスにも応用できるのではないかと着想した。今後、ヒトEVの解析を行うと同時に、これらウイルスの解析も考慮していく。
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Causes of Carryover |
現時点で、マウス血清EVのELISA解析までの実験では、抗体の購入等が比較的少なく済み、次年度に助成金が繰り越された背景がある。今後、ヒトEVの解析では、追加の血清購入等が予想されるうえ、これら成果の発表(論文・学会発表)における経費も追加で必要になるので、これらに使用予定である。また、前項で述べたウイルスの解析に対する費用も計上する意向である。
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