2021 Fiscal Year Research-status Report
がん診断法への応用を企図した細胞外小胞上に発現する分子会合体の解析
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18K06663
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小谷 典弘 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (90342782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 昌弘 三重大学, 工学研究科, 特任教授(研究担当) (20183494)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Extracellular vesicle / 2分子会合体 / リキッドバイオプシー / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、がん細胞膜上の分子同士が特異的会合体を形成する現象について以前より研究を進めてきた。 その一方、これら分子会合体形成はがん細胞膜上だけでなく、がん細胞から分泌されるexosomeなどの脂質2重膜構造を持つ細胞外小胞(Extracellular Vesicle:EV)上でも形成されていると考えられる。近年、血清中のがん細胞分泌EVを早期診断に利用する研究が注目されており、血清中のがん細胞分泌EV上に特異的に形成されている分子会合体を同定できれば、新規腫瘍マーカーとして利用できるのではないかと着想した。本研究では、EV上の分子会合体情報を過去に申請者らが開発した分子間相互作用解析法であるEMARS法(Kotani N. et al. (2008) Proc Natl Acad Sci U S A.、特許第4929462号)によって取得する事、およびこれらの研究成果をがん診断に応用するための基盤研究を実施することを目的としている。昨年度投稿した論文は無事受理され、方法開発は当初の目的を達した(Kaneda H and Kotani N et al. J. Proteome Res. 20(7)3519-3531, 2021)。現在、さらなる臨床応用研究のために、本学呼吸器内科と共同研究を行い、肺疾患の患者血清からEVを分離し、解析を行っている。 また、昨年度と同様、このEVと同様の構成体であるウイルスについて、同じ技術を用いてウイルス(副)受容体解析を行っている。現在論文投稿中であり、本研究および投稿中の論文を通して、SARS-CoV-2の分子生物学的研究に寄与できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初のEV研究の目的を達成し、応用研究の段階に入っている。また、ウイルス研究にも発展が見込める。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、EVの2分子会合体解析技術を実際に診断に応用するための研究を続ける。また、SARS-CoV-2の受容体研究の成果を論文に発表し、受容体同定技術の普及に努める。
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Causes of Carryover |
引き続き、EVの応用研究およびSARS-CoV-2の研究を継続するため。2022年度は、論文掲載料も含め、残予算で上記2つの研究を推進する。
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