2018 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋細胞に起因する新たな動脈硬化進展メカニズムの解析とその抑制方法の構築
Project/Area Number |
18K06666
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
加藤 里奈 昭和大学, 薬学部, 講師 (30392400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板部 洋之 昭和大学, 薬学部, 教授 (30203079)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 平滑筋細胞 / 動脈硬化 / 酸化ストレス / Peroxiredoxin 2 / Peroxiredoxin 4 / Thioredoxin / 平滑筋細胞分化マーカー / apoEノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化の進展過程において、動脈硬化巣からの刺激に応じて平滑筋細胞は形質変化し、病態進展に関与すると考えられてきた。我々は、動脈硬化巣が新たに形成される直前に平滑筋細胞は分化型から脱分化型へ形質変化し、病巣形成に関与する可能性を示してきた。 apoEノックアウトマウスの大動脈凍結切片の平滑筋細胞分化マーカーα-smooth muscle actin(SMA)とSM22を蛍光抗体法により二重染色し、共焦点顕微鏡により観察した。正常大動脈平滑筋層は、α-SMAとSM22が共局在していた。動脈硬化の初期病変が形成された近傍は、病巣に隣接しない領域の平滑筋細胞層のα-SMAとSM22発現が共に低下していた。平滑筋細胞は、動脈硬化巣形成前より脱分化型への形質変化が進行していた。 平滑筋細胞は、脱分化の進行と共に過酸化水素を消去する抗酸化タンパク質であるPeroxiredoxin2(Prx2)の発現が低下する。PrxのアイソフォームやPrxと共役して過酸化水素消去に寄与するThioredoxin(Trx)の分布を解析した。正常大動脈平滑筋層は、分泌型のPrx4、Trxが発現しているが、病巣形成初期はその発現が低下していた。予備的検討からPrx2発現低下への転写因子の関与が示唆され、更なる解析が必要と考えている。 初代培養ヒト平滑筋細胞のPrx2のノックダウンが、形質に及ぼす影響を検討した。Prx2 siRNAにより平滑筋細胞のPrx2タンパク質量がコントロールの約40%に低下したとき、α-SMAが72%に低下し、脱分化マーカーSMembは357%に上昇した。平滑筋細胞のPrx2低下は、分化型から脱分化型への形質変化を促す可能性が示唆された。 平滑筋細胞は、Prx2等の低下に伴う酸化ストレス亢進により分化型から脱分化型へ形質変化し、動脈硬化の進展に重要な役割を担う可能性が示唆された。
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