2019 Fiscal Year Research-status Report
病原真菌アスペルギルスの感染症薬暴露による薬剤耐性機構と病原性変化
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18K06668
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 健一 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20453805)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Aspergillus / 抗ウイルス薬 / 薬剤感受性 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法,移植医療等による免疫抑制下における易感染患者においては,複数の病原体による複合的な感染を起こすことがあり,予防投与も積極的に行われてい る.また,抗菌薬に対する耐性や医薬品の併用による相互作用など様々な影響も臨床上の問題となっており,医薬品の適正な使用が求められている.組成が明らかである完全合成培地に抗ウイルス薬を添加し,病原真菌Apergillus fumigatusを培養し,形態変化を観察した.その結果,抗ウイルス薬を添加することにより菌体の増殖促進、抗真菌薬感受性低下が認められている. 本年度はさらに、臨床で用いられている抗ウイルス薬の活性本体またはpH調整剤などの添加剤での活性比較を行い,活性本体以外にも、添加剤によってAspergillus菌体の抗真菌薬感受性に影響があることが明らかとなった。また、同様な作用機序で作用する抗ウイルス薬においても同様な増殖促進活性、抗真菌薬感受性変化が認められた.次に抗ウイルス薬添加,非添加培養菌体に対するマクロファージ応答の違いを検討する為に,マウス腹腔滲出細胞を培養し,両菌体で刺激しTNF-αなどの炎症性サイトカイン産生を比較検討した.両菌体刺激によって活性酸素種産生が認められ,添加培養Aspergillus菌体の方が高い炎症性サイトカイン産生を示した.これらのことから,抗ウイルス薬添加培養によっ て,Aspergillus菌体の細胞壁構成,形態に影響を与え,それらが白血球の活性化能に影響し,炎症応答に違いを生じる可能性があることが示唆された.今回の検討により、これらの活性は、同じ作用機序を持つ抗ウイルス薬、抗ウイルス薬に含まれる添加剤が影響している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに臨床で使用されている抗ウイルス薬を使用して検討してきた.今年度において,抗ウイルス薬に含まれる活性本体だけではなく,添加剤もこれまでに観察された成長促進作用、抗真菌薬感受性に対し,影響していることが示唆された.これまでに認められた現象のメカニズムを解析するため,次世代シーケンサーを用いた網羅的な解析を予定していたが,検体数が限られるため,条件の設定,現象の確認に時間を取られてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
本現象のメカニズムを明確にするため,対象薬剤,化合物を絞り込み,次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子発現解析を行う.また,Aspergillus菌体の細胞壁組成,構造の解析を行い,生体に対する抗原としての変化を解析する.
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Causes of Carryover |
予定をしていた遺伝子網羅解析について,実験条件の設定に時間を取られてしまった。 条件を絞り込み,解析を行うため予算を使用していく予定である。
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