2020 Fiscal Year Research-status Report
病原真菌アスペルギルスの感染症薬暴露による薬剤耐性機構と病原性変化
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18K06668
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
石橋 健一 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (20453805)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Aspergillus / 抗ウイルス薬 / 薬剤感受性 / 認識タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法,移植医療等による免疫抑制下における易感染患者においては,複数の病原体による複合的な感染を起こすことがあり,予防投与も積極的に行われてい る.また,抗菌薬に対する耐性や医薬品の併用による相互作用など様々な影響も臨床上の問題となっており,医薬品の適正な使用が求められている.組成が明らかである完全合成培地に抗ウイルス薬を添加し,病原真菌Apergillus fumigatusを培養し,形態変化を観察した.その結果,抗ウイルス薬を添加することにより菌体の増殖促進、抗真菌薬感受性低下が認められている.本年度は抗ウイルス薬添加,非添加培養菌体に対する脾臓細胞の応答の違いを検討した。マウス脾臓細胞を培養し,両菌体で刺激しIL-6などの炎症性サイトカイン産生を比較検討した.両菌体刺激によってIL-6産生が認められ,添加培養Aspergillus菌体の方が高いIL-6産生を示した.これらのことから,抗ウイルス薬添加培養Aspergillus菌体の細白血球の活性化能,炎症応答の違いについて,さらに検討することができた.これらの現象は,細胞壁構造の変化やそれらに伴う細胞壁成分を認識するタンパク質の反応性の違いによるものであると考えられた.そこで,抗ウイルス薬添加,非添加培養菌体に対するヒト免疫グロブリンやレクチンに対する反応性を蛍光顕微鏡にて観察した.抗ウイルス薬添加,非添加培養菌体に対する認識タンパク質の反応性に違いが認められ,それらが,生物活性に影響していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでに臨床で使用されている抗ウイルス薬を使用して検討してきた.今年度において,抗ウイルス薬が免疫担当細胞の応答性を変化させていることが示唆された.それには、細胞壁成分を認識するタンパク質反応性の違いが影響していると考えられた。現象のメカニズムを解析については,進捗が遅れており,今後の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
本現象のメカニズムを明確にするため,薬剤感受性に関わる遺伝子発現解析を行う.また,Aspergillus菌体の細胞壁組成,構造の解析を行い,生体に対する抗原としての変化を解析する.
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Causes of Carryover |
予定をしていた遺伝子解析について,実験研究時間確保に影響が出てしまい,未実施となってしまった.条件を絞り込み,解析を行うため予算を使用していく予定である.
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