2021 Fiscal Year Research-status Report
Re-sensitization of drug-resistant cancer cells by targeting hexosamine signaling pathways
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18K06671
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
板野 直樹 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (40257712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / ニッチ / ストレス耐性 / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
多剤耐性を示すがん幹細胞集団の出現は、化学療法が奏功しない最大の要因になっている。代表者らは昨年度までに、糖代謝の中心プログラムであるヘキソサミン合成経路と連動したヒアルロン酸糖鎖シグナルとタンパク質のO-GlcNAc修飾が、PI3K/Akt-GSK3β-β-カテニンを軸とする細胞の生存シグナルを活性化して、がん幹細胞の薬剤耐性の制御において相互補完的に機能していることを明らかにした。 ヘキソサミン合成経路の最終産物であるUDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)は、タンパク質の糖鎖修飾反応において糖供与体として利用され、糖鎖修飾を介してシグナル伝達や遺伝子発現の制御に中心的な役割を果たす。そこで、本年度は、がん幹細胞の薬剤耐性を制御するヘキソサミン代謝シグナル伝達経路の更なる特定を目的に、ヘキソサミン代謝流束の加速と連動して変化する糖鎖修飾について高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)や質量分析による解析を実施した。HPLC分析の結果、ヒアルロン酸過剰産生乳がん細胞では、ヘキソサミン代謝流束の加速に伴って、UDP-GlcNAc以外のUDP-グルコースやUDP-グルクロン酸などの他の糖供与体の細胞内プールも変化していることが明らかとなった。また、質量分析の結果、糖供与体の細胞内プールの変化に伴って、糖タンパク質や糖脂質などの糖鎖修飾も大きく変化しており、ヘキソサミン代謝流束の加速が、糖代謝や糖鎖修飾に広範に影響を及ぼしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度に予定していた研究項目のうち「ヘキソサミンシグナル伝達経路の網羅的解析」については、研究実績の概要で述べているように、昨年度までに、ヘキソサミン合成経路の加速が、タンパク質の糖鎖修飾やO-GlcNAc修飾に影響して、PI3K/Akt-GSK3β-β-カテニンシグナル伝達経路を活性化していることことを明らかにしてきた。新型コロナウイルスに対する感染防止策を講じながら、順次実験を再開してきたが、研究が当初計画から遅延している状況を改善するに至らず、最終年度に予定していた研究項目については、依然、実施することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は上述の通り、新型コロナウイルス感染症の影響により計画していた研究が遅延した状況が継続しており、令和3年度に計画していた研究「薬剤耐性スペクトル狭小化の検討」については令和4年度に実施時期を変更して実施する。具体的には、グルタミンアナログやGlcNAcアナログをスクリーニングして、ヘキソサミン合成経路やO-GlcNAc修飾に阻害作用を示す候補物質を特定する。そして、候補物質については、がん幹細胞の薬剤耐性スペクトルに及ぼす作用を解析し、創薬シーズとして確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画のうち一部の計画を除き、計画に従って実験を実施した。しかし、研究が当初計画から遅延している状況を挽回するに至らず、執行を予定していた実験補助員に係る人件費および消耗品費の一部が未使用となった。以上の理由により、次年度使用額が発生している。 研究期間最終年度における実験補助員の雇用が困難であると予想されるため、実験補助員の雇用は取り止め、バイアウト経費の執行等も念頭に、研究に必要な時間の捻出を図る。また、実施時期の変更となった研究については、研究室所属の大学院生の協力を得て進めるよう、実行可能な実施計画に変更して対応する。実験計画の見直しに伴って必要となる生化学実験や分子生物学実験、細胞培養のための消耗品については、物品費を計上して対応する。
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