2022 Fiscal Year Annual Research Report
Re-sensitization of drug-resistant cancer cells by targeting hexosamine signaling pathways
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18K06671
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
板野 直樹 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (40257712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / ニッチ / ストレス耐性 / ヒアルロン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
多剤耐性を示すがん幹細胞集団の出現は、化学療法が奏功しない最大の要因になっている。代表者らは、糖代謝の中心プログラムであるヘキソサミン合成経路と連動したヒアルロン酸糖鎖シグナルとタンパク質のO-GlcNAc修飾が、PI3K/Akt-GSK3β-β-カテニンを軸とする細胞の生存シグナルを活性化して、がん幹細胞の薬剤耐性の制御において相互補完的に機能していることを明らかにした。また、ヘキソサミン代謝流束の加速と連動して変化する糖鎖修飾について、高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)や質量分析による解析を実施し、ヒアルロン酸過剰産生乳がん細胞では、ヘキソサミン代謝流束の加速に伴って、糖供与体であるUDP-グルコースやUDP-グルクロン酸、GDP-マンノースなどの糖ヌクレオチドの細胞内プール量が減少していることを明らかにした。以上の結果から、ヘキソサミン代謝流束の加速が糖供与体の細胞内プール量の減少を引き起こして、タンパク質の糖鎖修飾に広範に影響を及ぼしていることが予想された。 そこで今年度は、質量分析によるグライコーム解析を実施し、ヘキソサミン代謝流束の加速に伴って変化する糖鎖修飾の変化について解析した。その結果、N-結合型糖鎖において特徴的な変化を認めた。N-結合型糖鎖は、P-糖タンパク質の薬剤排出機能を調節し、がん細胞の薬剤耐性を制御する他、増殖因子や細胞接着分子受容体の活性調節を通じて生存シグナルの発信調節に働くとされ、これらN-結合型糖鎖修飾の変化が、がん細胞の抗がん剤耐性に影響している可能性が示唆された。
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