2018 Fiscal Year Research-status Report
細菌感染におけるFasシグナル依存的な新規ヘルパーT細胞の誘導とその役割の解析
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18K06675
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
内山 良介 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (20456891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野坂 和人 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (10228314)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Fasシグナル / 細菌感染 / 炎症性サイトカイン / ヘルパーT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、細胞のアポトーシス誘導に重要なFasシグナル経路が、病原微生物感染の際の宿主炎症応答に重要な役割を果たすことを見出した。具体的には、グラム陽性細菌リステリア(Listeria monocytogenes)感染により、マクロファージ・樹状細胞のFasシグナル経路を介したcaspase-8活性化が誘導され、それが前駆体IL-1bを切断し活性型IL-1bとして産生分泌するこというものである。このIL-1bにより、新規ヘルパーT細胞が分化誘導され、宿主生体防御に重要な役割を担う可能性が示唆されている。しかし、Fasシグナルを介したIL-1bの詳細な産生・分泌メカニズムと、新規ヘルパーT細胞の誘導および生体における役割については、不明な点がある。 本研究課題では、Fasシグナル経路を介した炎症性サイトカインIL-1bの詳細な産生メカニズムと、それにより誘導される新規ヘルパーT細胞の誘導メカニズム、および生体における役割の解明を目的とする。IL-1bは、小胞体ーゴルジ体を介した典型的な分泌経路に必要なシグナルペプチドを有していないことが知られており、これまで詳細な分泌経路が不明であった。近年、マクロファージなどの細胞質に存在するタンパク質Gasdermin Dが、炎症に応じて活性化され細胞膜に集積して小孔を形成し、その小孔から活性型IL-1bが分泌されることが明らかになった。そこで本研究では、マクロファージ・樹状細胞のFasシグナル経路を活性化することで、Gasdermin D活性化が誘導され、小孔が形成されるのか検討を行った。その結果、マクロファージ系細胞株RAW264細胞のFasシグナル活性化によって、Gasdermin D活性化が誘導されることがわかった。同時に、細胞膜透過性が亢進し、細胞膜に小孔が形成されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
活性型IL-1b分泌におけるGasdermin Dの関与に関わる研究については、順調に進んでいるものと考えている。一方、新規ヘルパーT細胞に関わる研究については、その誘導方法において慎重な検討が必要な状況があり、進度がやや遅れているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた研究成果をもとに、当初研究計画に則ってさらに研究を推進させる予定である。具体的には、Fasシグナルの下流でGasdermin Dが活性化する詳細なメカニズムを解析するとともに、IL-1b分泌への関与についても検討を行う。さらに、新規ヘルパーT細胞の誘導に必要な因子を、炎症性サイトカインを中心に検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新規ヘルパーT細胞の誘導メカニズムに関わる解析の一部を次年度に持ち越していること、学会出張費を節約できたこと、また、実験に関わる物品で当初予定から安価なものが発生し、節約に努められたことにより、当該次年度使用額が生じた。新規ヘルパーT細胞の誘導メカニズム解明には、多くの時間が必要であるため、必要な解析を次年度に計画しているとともに、検討項目が多岐に渡る可能性があり、この内容で使用する予定である。
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