2019 Fiscal Year Research-status Report
新規パーキンソン病関連遺伝子midnolinの生理的、病理的な役割の解明
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18K06681
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小原 祐太郎 山形大学, 医学部, 准教授 (40400270)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | midnolin / MIDN / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も引き続きMidnolin(MIDN)の病態生理的な役割に関して、in vitroおよびin vivoの両面からの解明を試みた。 ヒトSHSY5Y細胞を用いたin vitroの系では、細胞をインスリンで刺激すると、MIDN遺伝子の発現が亢進した。さらに、PI3K阻害薬のWortmanninやMEK阻害薬のU0126の前処理によって、インスリンによるMIDN遺伝子の発現の亢進が抑制されたことから、PI3KあるいはMAPKシグナル依存的にMIDN遺伝子の発現が促進されることが明らかになった。さらに、これまでに全く不明であったヒトMIDNのプロモーターの解析を行った。SHSY5Y細胞からMIDN遺伝子プロモーター部位(-600 bp~+125 bp)をクローニングし、ホタルルシフェラーゼ遺伝子と連結した。このDNAコンストラクトを細胞にトランスフェクトすると、ルシフェラーゼの酵素活性が確認出来た。また、インスリンでこの細胞を刺激すると、ルシフェラーゼ活性がさらに増強した。このプロモーター領域を徐々に短くしていくと、ある特定の領域がルシフェラーゼ活性、すなわちMIDN遺伝子の転写に必須の部分であることが確認できた。 一方、in vivoの実験系において、8週齡のMidnノックマウスの中脳では、ドパミン神経細胞の異常は認められなかったが、線条体におけるTH陽性の神経線維が減少していた。約18ヶ月齢のマウスを用いて、オープンフィールド試験を行い、マウスの自由行動量を測定したが、野生型とノックアウトマウス間で有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Midnノックアウトマウスの繁殖が順調に進み、現在は24ヶ月を超える個体数が増えてきた。オープンフィールド試験などの行動解析も行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、MIDN遺伝子の発現に重要な部位に結合する転写因子の同定を試みる。さらに、MIDNノックアウトマウスの脳組織を用いて、神経機能に影響を与える遺伝子の発現量などを調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 前年度に購入予定だった動物行動解析システム(ハードウエア、ソフトウエア一式)を、当該年度に購入することになったために、次年度使用額が生じた。そのために、残金を繰越し金として次年度に使用することにした。 (使用計画) 次年度に予定する研究計画を実施するために、適切に使用する。特に、高額な解析費が必要な次世代シークエンサーを用いた全ゲノム解析などの研究を行う予定である。
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