2018 Fiscal Year Research-status Report
原発性胆汁性胆管炎に伴う掻痒症遷延の分子機構の解明
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18K06707
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
前田 武彦 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50271010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 拓也 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (80813287)
川原 浩一 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (10347015)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胆汁うっ滞性そう痒 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性胆汁性胆管炎(PBC)等における胆汁うっ滞性そう痒の遷延化分子機構を明らかにするために、マウスを用いてモデル動物の作成手技の確立に着手した。雄性ICR系マウスの尾状葉後葉の胆汁分泌のみを保持するように、胆管の尾状葉への分岐と右葉への分岐との間を縫合糸で結紮した。マウスの行動をビデオ撮影し、後肢による全身への掻き動作をもって、痒み様反応と判断し、その回数を測定した。予備実験により見出した結紮箇所に結紮をしたところ、胆管の膨大や肝臓の組織学的障害が認められるものの、十分なそう痒行動を示さなかった。そこで、胆管の他の分岐点のうち2箇所について結紮を行い、同様の観察を行った。その結果、当初とは異なる箇所の胆管分岐部の結紮により、結紮後5週目から10週目にわたり、そう痒行動が認められた。また、抗ヒスタミン薬やナルフラフィンの投与のそう痒行動に及ぼす影響を検討し、奏効性が十分でなかった。すなわち、胆汁うっ滞性そう痒モデルのそう痒行動に対して、既存の鎮痒薬があまり奏効しなかったことから、実臨床の薬物治療でみとめられる難治性を当該モデルが示すと判断した。以上の結果について、再現性の確認を終えたことから、モデル作成手技を確立したと判断した。遺伝子発現の解析を現在実行しており、他の慢性そう痒モデルにて報告されている痒みメディエーター分子の発現上昇をそう痒行動を発現する胆管結紮10週間後に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
胆汁うっ滞性そう痒モデルの手技の確立とそれにおけるそう痒行動発現の再現性に時間を要し、30年度計画の一部のみしか実施できなかった。また、実施した遺伝子発現解析により、他の慢性そう痒モデルを用いて報告されている痒みメディエーター分子の発現上昇を当該モデルでも見出したが、これについては、経時変化を検討することや、マイクロアレイ解析による包括的な発現解析を行う必要があり、痒み物質の最終的な同定には、まだ時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、モデル作成手技の基礎的検討は終えており、痒みメディエーター分子の同定を継続中である。分子同定についてはマイクロアレイ解析を実施する予定であるが、RTPCRにより特定遺伝子mRNAの顕著な発現を確認済みであることから、マイクロアレイ解析と同時並行にて当該遺伝子の細胞種特異的欠損動物の入手を進めている。また、同分子の痒み行動発現や胆汁うっ滞性そう痒への影響を明らかにするために、当該痒みメディエーター分子に関連する薬剤を購入し、その投与実験を計画している。
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Causes of Carryover |
胆汁うっ滞性そう痒モデルの作成手技において、胆管の結紮部位の検討と再現性の確認に時間を要したため、組織学的検討やマイクロアレイ解析などで使用する高額な試薬の購入や解析の委託には未だ至ってはいない。これらの実験は31年度に実施するので、その研究費用が必要である。また、入手を進めている遺伝子改変動物についても、動物の作成費用が高額に上るため、合わせて31年度費用に計上した。
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