2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K06713
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
佐伯 真弓 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (00462771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレルギー / T細胞 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者らが以前に行った臨床研究において、スギ花粉症の舌下免疫療法の奏功に強く相関することが示唆された苦味受容体の免疫応答における役割を明らかとする。中でも、免疫応答において中心的な役割を果たしているT細胞に焦点を当てて、苦味受容体の役割を解析する。まず、ヒトCD4陽性T細胞における苦味受容体の発現を測定したところ、発現量が少なかった。そこで、ヒトT細胞株であるJurkat細胞を用いて苦味受容体の強制発現系を構築した。TAS2Rは7回膜貫通タンパク質(GPCR)であるが、細胞外領域が極端に短く、膜への局在化が困難であった。そこで、N末に他GPCRタンパク質のN末部分を挿入することにより、細胞膜への局在化に成功した。そこで、いくつかのリガンドを細胞に作用させてみたところ、ある種のリガンドを作用させた場合には細胞の活性化が抑制される可能性が示唆された。 また、免疫応答は全身性の反応であることから、生体内での免疫応答における苦味受容体の役割を明らかとする必要がある。そこで全身性の反応を検討するために、研究代表者らが最近作出した抗原特異的T細胞由来のクローンマウスを用いてアレルギー性鼻炎モデルの樹立を試みた。クローンマウスにたった数回抗原を点鼻するとアレルギー性鼻炎を発症したが、野生型マウスに同じ回数、点鼻を行っても鼻炎病態は発症しなかったことから、クローンマウスを用いることにより、速やかに病態を発症するアレルギー性鼻炎モデルを確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の解析に必要な強制発現系の構築に成功し、反応性は弱いながらも苦味成分がT細胞に影響を与えることを示唆される結果を得ることが出来た。 更にマウスを用いた検討を行う為の基盤となるマウスモデルが確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度においてin vitroにおける強制発現系の構築、in vivoにおけるモデルマウスの作製が順調にできたことから、次年度はさらに発展的にリガンドによる変化を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の予定より細胞膜への局在化に時間を要したことから、使用額が次年度に繰り越された。現在、発現系を構築した細胞を用いてリガンドによる細胞応答の特徴を解析していることから、本解析に必要なmRNAの試薬、フローサイトメーターを用いた解析で使用する抗体等を中心として予算を使用する予定である。
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