2019 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞の分化あるいは細胞融合を選択的に阻害する活性天然物の探索と作用機構の解明
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18K06719
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
加藤 光 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 助教 (20547129)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 分化 / 細胞融合 / 天然物 / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨は、骨が溶かされ壊れること(骨吸収)と骨が新たに作られること(骨形成)を絶えず繰り返している。正常な状態では骨吸収と骨形成のバランスは保たれているが、骨粗鬆症患者では骨吸収の方が優位になっているので、骨の量が次第に低下する。骨吸収を担うのは破骨細胞なので、その細胞の形成を阻害し、骨吸収を抑制することができる化合物は骨粗鬆症治療薬の候補化合物となる。一方、破骨細胞が形成されるためには、破骨細胞の(1)分化と(2)細胞融合の2つの段階を踏む必要がある。したがって、(1)と(2)のどちらかの段階を阻害することができれば、破骨細胞による骨吸収を阻害することができる。当研究室では、独自の薬用資源(約4,500種)を保有しており、それらの資源から、破骨細胞による骨吸収を阻害する化合物を探索している。 2018年度は破骨細胞の(1)分化あるいは(2)細胞融合を阻害する化合物を探索し、3つの阻害物質(化合物A、B、C)を発見していた。2019年度は、2018年度に継続して阻害化合物を探索し、2つの阻害物質(化合物D、E)を新たに見出した。 化合物Aは新規化合物であり、破骨細胞の(1)分化は阻害せず、(2)細胞融合を阻害することから、骨粗鬆症の治療薬の候補として期待できる。そこで、Aの誘導体を化学合成により10種以上すでに取得し、現在、構造活性相関を調べている。化合物Bも新規化合物であり、数nMで分化阻害活性を示すことから、類縁体をさらに探索して2種の新規化合物を追加で単離した。今後、構造活性相関を調べたい。また、化合物Cは既知化合物であるが1)分化は阻害せず、(2)細胞融合を阻害した。収量が最も多いことから、現在、遺伝子レベルで活性機序を調べている。 上記の実験に加えて、現在も新たな分化・細胞融合阻害剤を継続的に探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予想よりも多くの分化・融合阻害剤が見出されており、計画以上に進展していると考えている。また、合成展開により構造活性相関を調べたり、遺伝子レベルで作用機序を調べる段階に予定よりも早く展開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2020年度は、これまでに見出したシーズについて、構造活性相関を調べたり、作用機序を調べたりする実験を引き続き実行する予定である。
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