2018 Fiscal Year Research-status Report
スコパリアが産生する四環性ジテルペン骨格のダイバーシティを制御する分子機構の解明
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18K06729
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山村 良美 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (30464027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植物二次代謝 / ジテルペン / チトクロームP450 / 環化酵素 / 有用物質生産 / エリシター / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「スコパリア植物の二次代謝産物の生合成酵素を包括的に解析することによって、四環性ジテルペンの骨格形成のダイバーシティを制御する分子機構を解明すること」である。この目的のために、初年度は我々が以前に単離した環化酵素syn-CPS(SdCPS2)の反応機構を詳細に解析した。 まず、N末端葉緑体移行シグナルをプログラムで推測した位置の前後で切断した発現ベクターを作製した。これらのプラスミドを導入した大腸菌が生成したジテルペンをGC-MSで分析したところ、SdCPS2はプログラム予測された21アミノ酸残基に加え、51アミノ酸残基まで切断したものでも同様の活性が認められた。しかしながら、81および111アミノ酸残基切断したものではSdCPS2活性が著しく減少していた。 次に結晶構造が明らかにされているシロイヌナズナ由来ent-CPS (AtCPS, PDB: 3pya) を鋳型とし、SdCPS2 の構造をホモロジーモデリング法によって予測した。SdCPS2はN末端側からα、βおよびγドメインを形成しており、活性中心とされるDXDDモチーフは、βドメインとγドメイン境界付近に位置していた。このモデルに基質GGPP をドッキングして活性部位を構成する4つのチロシン残基が環化反応に必要なアミノ酸残基であると推測した。さらに予測したsyn-CPS の活性部位アミノ酸配列をCDP の異性体を生合成する環化酵素(+)-CPS、ent-CPS の配列と比較することにより、それぞれのCPS において反応に重要とされているアミノ酸残基に対応する位置を調べると、ほぼすべてのアミノ酸残基が基質近傍に位置していることがわかった。 今回得られた結果は、スコパリアのSDB生合成における骨格形成プロセスを解き明かす糸口となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は既に単離・機能同定した環化酵素SdCPS2の活性部位の詳細な解明を試みた。まず、N末端側の葉緑体移行シグナル配列を様々な位置で切除し、活性変化を測定した。その結果、プログラムで予測された21アミノ酸残基よりさらに30残基切除しても活性に変化が見られないことが分かった。さらに、ホモロジーモデリング法によってSdCPS2の構造を予測した。SdCPS2はジテルペン合成酵素に共通するα、βおよびγの3つのドメインから成ることが明らかとなった。N末端側から順にγ、βそしてαドメインを形成しており、ファンクショナルモチーフであるDXDDモチーフはβドメインとγドメインの境界付近に位置していた。このため、活性中心はβドメインとγドメインの境界であると推測された。さらに基質であるGGPPとのドッキング解析を行い、活性中心におけるアミノ酸残基との位置関係を調べた結果、活性中心において4つのチロシン残基が環化反応に重要であると示唆された。以上の結果から、本年度予定していた研究計画「環化酵素SdCPS2の活性部位の解明」においてはやや遅れてはいるが、次年度も引き続き研究目的を達成するための研究計画を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にドッキング解析で推測したSdCPS2の活性部位を形成する触媒残基のアミノ酸を他のアミノ酸残基に置換した変異体を作製する。作製した発現ベクターをGGPP 生産大腸菌株に導入しGC-MSで生成物を分析し、SdCPS2 の基質認識能に必須のアミノ酸残基を特定する。 加えて、SDB生合成機構におけるSdCPS2酵素反応の次のステップであるsyn-CDPからScopadula-13-α-olの反応に関与すると推定されるkaurene synthase-like (SdKSL1) の機能解析に着手する。まず、単離した全長SdKSL1クローンのシグナルペプチド部位をTMHMMまたはSignalPで予測する。予測された領域を切断したORF部位を組み込んだ大腸菌発現ベクター(pET28) を作製する。続いて、このベクターをsyn-CDP生産大腸菌株C41に形質転換し、IPTGで発現を誘導した大腸菌培養液抽出物をGC-MSで分析する。反応生成物のピークが観察されたら、この反応生成物をNMRで解析し、構造決定を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)残額が生じてしまったが、これは論文掲載が次年度に持ち越されてしまったためである。本計画はやや遅れてはいるものの、今年度の計画遂行に影響はない。
(使用計画) 残額は論文掲載料(約20万円)および消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)