2019 Fiscal Year Research-status Report
スコパリアが産生する四環性ジテルペン骨格のダイバーシティを制御する分子機構の解明
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18K06729
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山村 良美 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (30464027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジテルペン / 環化酵素 / 有用物質生産 / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「スコパリア植物の二次代謝産物の生合成酵素を包括的に解析することによって、四環性ジテルペンの骨格形成のダイバーシティを制御する分子機構を解明すること」である。この目的のために、R1年度は我々が既に機能同定した環化酵素syn-CPS(SdCPS2)の反応機構についてさらに知見を得るために種々の変異体を作製し、それらの反応生成物を解析した。その結果、Y528FまたはY347F変異体で新たな反応生成物syn-halima-5,13-dienyl diphosphate及びterpentedienyl diphosphate などが確認された。これは、チロシン残基のヒドロキシ基が消失することにより、labda-13-en-8-yl+ diphosphate carbocation中間体の安定性が減少し、水素転位やメチル化シフトが生じたものであると推測される。OsCPS4においてSdCPS2のY528に対応するH501残基が環化反応に重要であることが報告されていることから、SdCPS2の酵素反応において、528番目のチロシン残基がカルボカチオン中間体の安定性に大きく寄与していることが分かった。 また、SDB生合成機構におけるSdCPS2酵素反応の次のステップであるsyn-CDPからscopadula-13-α-olの反応に関与すると推定されるkaurene synthase-like (SdKSL1) の機能解析に着手した。その結果、SdKSL1は特徴的なscopadulane骨格を有するジテルペンアルコールの形成に関与していた。scopadulane骨格の形成に関与する酵素は、これまでに同定されておらず、今回が初めての報告である。 今回得られた結果は、スコパリアのSDB生合成における骨格形成プロセスを解き明かす糸口となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度に引き続き環化酵素SdCPS2の詳細な機能解析を行った。前年度にSdCPS2と基質GGPPとのドッキング解析で推測したSdCPS2の活性部位を形成する6つの触媒残基(F279、P340、Y347、Y386、C387およびY528)を他のアミノ酸残基に置換した変異体を作製した。作製したSdCPS2変異体をGGPP 生産大腸菌株に形質転換した。この組換え大腸菌を培養し、GC-MSで生成物を分析した。その結果、Y347F及びY528F変異体において、syn-CDPに加え、syn-halima-5,13-dienyl diphosphate及びterpentedienyl diphosphateの生成が確認された。この結果よりSdCPS2の酵素反応において、528番目のチロシン残基がカルボカチオン中間体の安定性に大きく寄与していることが分かった。 さらに、既に単離したSdKSL1の機能同定を行った。N末端側の葉緑体移行シグナル配列を切断したSdKSL1を組み込んだベクターをsyn-CPP産生組換え大腸菌に形質転換した。高栄養培地を用いてIPTGで誘導後、16℃、72時間培養した。培養液をヘキサンで抽出し、抽出物をGC-MSで分析した。また、構造決定のため、大量培養後、反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、NMRで解析した。その結果、SdKSL1はsyn-CDPを基質とし、SDBに特徴的なscopadulane骨格を有するscopadula-13-α-olを生合成する酵素であることが分かった。以上の結果から、本年度予定していた研究計画「生合成に関与するP450候補遺伝子の探索」においてはやや遅れてはいるが、次年度も引き続き研究目的を達成するための研究計画を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究により得られたトランスクリプトーム解析の結果から標的としている水酸化反応に関与していると予測されるP450の候補をピックアップする。候補となるP450遺伝子の全長cDNAクローンを単離し、メチルジャスモン酸刺激、ストレス処理等をした細胞を用いて、定量的リアルタイムPCR法で遺伝子発現の変動を解析する。その解析の結果からSDB生合成と相関性のあるものに焦点をあて、酵素の機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
理由;残額が生じてしまったが、これは新型コロナウィルスの感染拡大で購入予定であった消耗品(中国産)が当該年度内に納品不可能となってしまったためである。本計画はやや遅れてはいるものの、次年度の計画遂行に影響はない。
使用計画;残額は次年度の消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)