2020 Fiscal Year Research-status Report
スコパリアが産生する四環性ジテルペン骨格のダイバーシティを制御する分子機構の解明
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18K06729
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山村 良美 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (30464027)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジテルペン / 環化酵素 / 有用物質生産 / P450 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「スコパリア植物の二次代謝産物の生合成酵素を包括的に解析することによって、四環性ジテルペンの骨格形成のダイバーシティを制御する分子機構を解明すること」である。この目的のために、R2年度はSDB生合成機構におけるSdKSL1酵素反応の次のステップであるscopadula-13-α-olの水酸化反応に関与すると推定されるP450候補遺伝子の単離を試みた。まず、我々の先行研究により得られたトランスクリプトーム解析の結果から標的としている水酸化反応に関与していると予測されるP450(CYP71 またはCYP76 ファミリーである可能性が高い)の候補を26個ピックアップした。これらの候補遺伝子からプライマーを設計し、定量的リアルタイムPCR 法で遺伝子発現の器官特異性をを解析した。その結果、5つの候補を絞ることができ、これらの遺伝子の全長cDNAクローンを単離した。 今回得られた情報は、植物が産生するラブダン関連ジテルペンの骨格多様性のメカニズムの解明に大きく寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は生合成に関与するP450候補遺伝子の探索を行った。 まず、我々の先行研究により得られたトランスクリプトーム解析の結果から標的としている水酸化反応に関与していると予測されるP450(CYP71 またはCYP76 ファミリーである可能性が高い)の候補を26個ピックアップした。これらの候補遺伝子の配列からプライマーを設計し、定量的リアルタイムPCR 法で各遺伝子発現の器官特異性を解析した。その結果、SDBの蓄積器官である若葉に強く発現していた7つのP450候補遺伝子を絞ることができた。次に、これらの遺伝子の全長cDNAクローンを単離した。取得したcDNAにはP450に特有の3つのモチーフおり、N末端のシグナルペプチドも特定できた。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究により得られたP450候補遺伝子のメチルジャスモン酸刺激、サリチル酸処理等をした細胞を用いて、定量的リアルタイムPCR法で遺伝子発現の変動を解析する。その解析の結果からSDB生合成と相関性のあるものに焦点をあて、酵素の機能解析を進める。GGPP の上流の遺伝子(具体的にはメバロン酸生合成経路上の酵素遺伝子群)を既存の大腸菌in vivo システムに共導入することで、生産システムの効率的な効果が得られるかを検証する。この改良型のscopadula-13-α-ol 生産株に作製したP450/CPR 発現ベクターを導入し、発現を誘導した大腸菌から酵素反応生成物についてGC-MS で分析する。生成物については、必要に応じてNMR 解析を行う。P450 の機能が同定できた場合、P450 の活性に重要な補因子である電子伝達系タンパク質に加えてNADPH 再生酵素を共導入し、その効果も検討する。また、遺伝子ファミリーにおけるアミノ酸配列の違いが、P450 分子種の基質認識に及ぼす影響も検討した上で、ジテルペン生合成に関与するホモログを特定する。
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Causes of Carryover |
理由;残額が生じてしまったが、これは産休・育休のため研究が一時停止してしまったためである。本計画はやや遅れてはいるものの、次年度の計画遂行に影響はない。 使用計画;残額は次年度の消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)