2020 Fiscal Year Research-status Report
抗腫瘍分子標的薬に対する抵抗性の要因解明および抵抗性解除に関する基礎検討
Project/Area Number |
18K06743
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒木 拓也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00568248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八島 秀明 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60773512)
山本 康次郎 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70174787)
永野 大輔 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90738387)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗腫瘍薬 / プロテオーム / 抗体医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗腫瘍効果の高い薬剤が多く開発され、がん化学療法における治療効果は飛躍的に向上したが、抗腫瘍薬に対する抵抗性の発現により治療が難渋する症例も多い。また、薬剤抵抗性が発現したがん患者に対する治療法選択については様々な臨床研究が行われているが、薬剤抵抗性を解除するための効果的な方法は未だ構築されていない。そこで、がん化学療法における治療成績を向上させるためには、多くの患者に対して高い効果が認められている薬剤に対する抵抗性を解除する方法論を構築することが重要であると考え、本研究では抗体医薬を中心とした抗腫瘍分子標的薬に対する抵抗性の要因を解明し、その解除方法を検討することとした。特に本研究では抗腫瘍薬に対する感受性が異なる複数の培養細胞株における発現タンパク質を網羅的に解析するプロテオーム解析を行うことで、抗腫瘍活性に影響を及ぼす要因を決定し、さらに、その要因を制御することによる薬剤抵抗性の解除について詳細に検討することとした。 当該年度は前年度に引き続き、これまでの解析により薬剤抵抗性に関連すると可能性のあるタンパク質として検出された解析対象タンパク質を対象に、遺伝子制御やタンパク質の活性に影響を与えると報告されている薬物を用いた活性変動が薬物抵抗性に与える影響を評価するとともに、それらの候補タンパク質の活性を制御した条件下での別タンパク質の影響を解析した。 新たに一部タンパク質が薬剤抵抗性に関与している可能性を確認しており、現在、当該タンパク質の発現量上昇により薬効が上昇すると報告されている薬物を用い、当該薬剤が薬剤抵抗性解除につながるか検討している。 本研究は、薬剤抵抗性解除によるがん化学療法における新たな治療戦略を構築することにつながるとともに、新たな治療戦略としての薬剤抵抗性解除法に関する研究基盤を構築することに繋がると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の拡大に伴う研究実施施設への一部立入制限等により研究活動を一時停止したこと、研究関連物品等の調達遅れが生じたこと等の理由により、若干の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤抵抗性タンパク質の探索についての検討を同様の手法により継続するとともに、遺伝子導入を用いた候補タンパク質制御および当該タンパク質発現もしくは活性に関与する薬剤、もしくは当該タンパク質の発現変動が薬効上昇につながると報告されている薬剤を用い、抵抗性解除効果に関する評価を中心に進める。 さらに、当該タンパク質発現を制御した条件下でのプロテオーム解析をサンプル前処理条件を変更した上で再度実施することにより、薬剤抵抗性発現機構の詳細を検討することとする。 合わせて解析タンパク質を決定し次第、臨床検体中の解析対象タンパク質濃度を分析し、薬剤抵抗性との関係性を評価する。 いずれの手法もすでに確立されており、研究実施について大きな問題はないと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大に伴う研究施設の一部使用制限等により研究計画を一部変更した。 研究実施期間を延長したが、研究計画自体に変更はないため、当初の研究計画通りの内容で研究費を使用する予定である。
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