2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of interindividual variability in pharmacokinetics of and clinical responses to neuropathic pain medications in cancer patients
Project/Area Number |
18K06746
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80422749)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛治療薬 / バイオマーカー / 薬物動態 / 炎症性サイトカイン / がん性疼痛 / プレガバリン / デュロキセチン |
Outline of Annual Research Achievements |
プレガバリン及びデュロキセチンともに、当施設の臨床研究倫理委員会の承認を受けた。臨床試験については、プレガバリンまたはデュロキセチンを服用する神経障害性疼痛を有するがん患者を対象に登録を開始した。プレガバリン及びデュロキセチンの登録患者数は、2020年3月の時点で、それぞれ、64名と10名である。薬物動態解析については、プレガバリン及びデュロキセチンともに血漿中濃度の測定法が確立されており、トラフ濃度に基づく評価を行っている。しかし、デュロキセチンの代謝経路の依存度を予測するための代謝物の血中濃度測定に関しては、定量感度の点から、がん患者での評価は困難であると判断した。また、がん患者では、炎症性サイトカインの血清中濃度が高値を示すことから、血清中のインターロイキン6濃度や炎症関連マーカーの両観点から、それらをがんの進行度の軸として、プレガバリン及びデュロキセチンの忍容性ならびに有害作用の個人差を予測することを計画している。がん患者におけるプレガバリン及びデュロキセチンの薬物動態を担う薬物代謝酵素(CYP2D6、CYP1A2)や薬物輸送担体(有機カチオントランスポーター)のフェノコンバージョンを評価するための、それらの遺伝子多型の評価とマイクロRNAを含めた内因性バイオマーカーの評価法を構築している。また、中間解析において、長時間作用型ベンゾジアゼピン系薬やオピオイド鎮痛薬の併用及び持続的な高インターロイキン6血症が、神経障害性疼痛を有する患者の鎮痛効果や中枢性神経症状に大きく影響を及ぼすことが明らかになっており、それらの影響因子を含めた統合評価を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デュロキセチン及びプレガバリンの臨床試験を開始したが、デュロキセチンを服用している患者の登録数が少なく研究の進捗がやや遅れている。一方、プレガバリンについては、予定通りに患者登録、薬物動態解析、炎症性サイトカインの評価及び患者情報の収集が開始できていることから、おおむね順調に研究が進展している。血清バイオマーカーについては、薬物代謝酵素や薬物輸送担体の機能を反映する候補マーカーの選択とその定量法の確立を順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床試験の患者登録とともに、薬物動態解析、炎症性サイトカインの評価及び患者情報の収集を継続する。探索によって得られたプレガバリンやデュロキセチンの体内動態を担う薬物代謝酵素や薬物輸送担体のフェノコンバージョンの程度を評価するために、患者試料での血清バイオマーカーの定量を開始する。薬物代謝酵素及び薬物輸送担体の遺伝子多型の評価とともに、がんの進行度を反映する候補マイクロRNAの血清試料での定量を開始する。
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Causes of Carryover |
薬物動態解析について、血漿中薬物や血清中バイオマーカーの濃度測定の前処理として、固相抽出を用いなかったため、それに関連する消耗品の購入費用が少なくて済んだ。候補マイクロRNAの探索については、他の財源を利用して行ったため、本財源からの支出はなかった。検体集積が十分でないために、血清中バイオマーカーの定量のための試薬やキット類の購入を延期したことが挙げられる。 2020年度の研究費については、薬物動態評価、血清中バイオマーカー及び炎症性サイトカインの評価や遺伝子多型解析に必要な消耗品にかかる費用とともに、血清中マイクロRNAの定量に関連した消耗品、情報収集のための学会参加、学内共同機器の使用料に研究費を使用する。
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