2018 Fiscal Year Research-status Report
Design and Evaluation of Cyclodextrin-based Supermolecules as Antitumor Agents
Project/Area Number |
18K06751
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
東 大志 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (20613409)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ポリロタキサン / シクロデキストリン / 癌 / 超分子 / 超分子薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「新たな医薬品原薬として超分子 (複数の分子が秩序だって集合した構造体) を活用する」という概念を確立することを最終目的とし、抗癌活性を有するシクロデキストリン (CyD) 超分子 (ポリロタキサン) を創製する。今年度の目標は、メチル-β-CyD ポリロタキサンを生分解性の結合を介して調製することであり、概ね達成できた。 軸分子には、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール (PEG-PPG-PEG) 共重合体 (Pluronic P123) を用いて、片末端あたり2つのアミノ基を導入した。この際、軸分子内に生体内のカルボキシエステラーゼで切断されるカルバメート結合を導入した。得られた軸分子に、β-CyD を過剰量反応させ、ポリ擬ロタキサンを得た。さらに、エンドキャップ分子であるトリニトロベンゼンスルホン酸を過剰量反応させ、ポリロタキサンを得た。ポリロタキサン中の CyD の水酸基をヨウ化メチルでメチル化し、メチル化-β-CyD ポリロタキサンを得た。 研究が比較的順調に進んだため、ジメチル-β-CyD のポリロタキサンも調製した。ジメチル-β-CyD はメチル-β-CyD よりも、さらに細胞障害活性が高いため、より優れた抗腫瘍活性が期待できる。上述の軸分子に、ジメチル-β-CyD を過剰量加え、さらに加温することにより、ジメチル-β-CyD のポリ擬ロタキサンを得た。さらに、トリニトロベンゼンスルホン酸でエンドキャップし、One-pot でジメチル-β-CyD ポリロタキサンを得ることに成功した。 以上のように、メチル-β-CyD およびジメチル-β-CyD から成るポリロタキサンの合成に成功し、当初の計画以上の成果を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、メチル-β-CyD あるいはジメチル-β-CyD のいずれかから成るポリロタキサンの合成を目標としていたが、両方のポリロタキサンを得ることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
In vivo における各種ポリロタキサンの抗癌活性を評価する。担癌マウスに対して、生分解性メチル-β-CyD ポリロタキサンの抗癌活性が、メチル-β-CyD 単独よりも有意に高いことを目標とする。具体的な実験方法として、抗癌活性は、サンプル投与後 (静脈内投与、週 1~3 回) の腫瘍体積・重量や生存率を指標に評価する。なお本研究では、主にマウス大腸癌株細胞の colon-26 細胞を用いて担癌マウスを作成する。 目標達成が困難な場合、至適分子デザインを再考する。例えば、癌組織への特異性を向上させるため、癌標的リガンドである葉酸をポリロタキサンに修飾する。具体的には、アジ化-β-CyD からなるポリ擬ロタキサン、ポリロタキサンを調製し、トリニトロベンゼンスルホン酸を用いてエンドキャップする。そこにヨウ化メチルでメチル化反応を施し、クリック反応を介して葉酸を修飾する。得られた反応物は透析で精製し、フリーの葉酸を除去する。上記葉酸修飾-メチル-β-CyD ポリロタキサンを得ることが出来れば、分子内に複数の葉酸が導入されるため、癌選択性が著しく向上し、癌細胞への取り込みも飛躍的に向上することが期待できる。
|
Causes of Carryover |
他の予算により物品費を賄うことが出来たため、物品費の支出を抑えることができた。次年度は動物実験を控えており、より多くの物品費が必要である。今年度の繰り越しは、次年度の物品費として使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)