2018 Fiscal Year Research-status Report
小児白血病におけるメルカプトプリンによる治療のDNA中代謝物濃度による個別化
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18K06756
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田中 庸一 北里大学, 薬学部, 講師 (40525341)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA-dTG / 6-メルカプトプリン / 小児白血病 / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
小児白血病の治療において、主要な治療薬の1つである6-メルカプトプリン(6-MP)は、細胞内に取り込まれた後に、複数の代謝酵素によって代謝を受け、活性代謝物である6-thioguanine nucleotides (6-TGNs)となる。6-TGNsはDNAやRNAに取り込まれ、細胞障害を現す。これまでに、細胞内の6-TGNs濃度の測定について、欧米人の患者において報告があるが、日本人では報告が少ない。さらに、6-MPの代謝物が効果を発現するDNAやRNAへの取り込み量と作用発現については、日本人では報告がない。そのため、DNAに取り込まれたTGNsの濃度を測定する方法を確立することとした。 今年度は、白血病細胞のCell lineにおいて、DNA内のTGNsを測定系を確立した。6-thioguanineを添加して培養したCell line細胞からDNAを抽出し、そのDNA内に取り込まれているDeoxy thioguanine (DNA-dTG)濃度をLC-MS/MSで測定した。 LC-MS/MSでは、0.1pg/μL-20ng/μLの濃度を測定することが可能な検量線を作成した。89株の培養細胞のDNA-dTGを測定し、測定精度は十分であった。 確立したDNA-dTG濃度測定法で、実際に臨床で6-MPを服用した患者から採取したDNAを用い、DNA-dTG濃度の測定を行った。これまでに報告があったDNA-dTG濃度範囲と同様の測定結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAに取り込まれたTGNsの濃度測定を行う測定系を確立し、Cell lineおよび実際の患者検体で測定可能であることを確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA-dTG濃度の治療効果や副作用との関連性を確認する。 治療効果については、Cell lineを用い、IC50等とDNA-dTGの関連があるかについて、検討する予定である。 副作用との関連性については、実際に6-MPにより治療を行なっている患者において、骨髄抑制等の副作用が発現した際の血液よりDNAを採取し、副作用発現の指標となるDNA-dTG濃度を検討する。
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Causes of Carryover |
必要とした物品を購入するためには今年度使用額では不足していたため、次年度の使用額と併せて、当該物品を購入することに充当する予定である。
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