2019 Fiscal Year Research-status Report
配糖体の体内動態を制御する促進拡散型トランスポーターの同定
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18K06760
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井上 勝央 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50315892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トランスポーター / 配糖体 / フロレチン / GBA3 / 促進拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
促進拡散による配糖体の細胞内移行を評価するために、アクチン局在化シグナルを有するLifeact-GBA3をHEK293細胞の細胞質内に安定発現させ、4-methylumbelliferoneの各種配糖体(4-MU-Glc、-Gal、-Ara)の細胞内移行とGBA3を介した加水分解により生じる蛍光性アグリコン(4-MU)の集積を定量することで配糖体の細胞膜透過過程を評価した。Lifeact-GBA3安定発現細胞において、4-MU-Glcおよび-Gal添加時における4-MUの蛍光強度は時間依存的に増大し、その蛍光強度は界面活性剤処理した同細胞においてさらに増大したことから、GBA3を介した反応系において4-MU-Glc/-Galの細胞膜透過過程が律速であることが示された。一方、4-MU-Araの時間依存的な蛍光強度は、4-MU-Glcおよび-Galに対して大きく、界面活性剤の影響は小さかった。さらに、4-MU各種配糖体添加時における4-MUの蛍光強度は、フロレチン存在下において顕著に低下し、界面活性剤処理した同細胞においてフロレチンの影響は認められなかった。このことは、これら配糖体の生体膜透過における単純拡散の寄与は小さく、主にphloretin感受性トランスポーターが介在することが示された。Phloretin感受性グルコーストランスポーターとして知られるGLUT1の発現がHEK293細胞において認められたが、GLUT1選択的阻害剤の影響は認められず、各種GLUTsおよびSGLTs遺伝子の一過性発現による影響も認められなかった。以上のことから、HEK293細胞における4-MU配糖体の細胞膜透過に未知のトランスポーターが関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に作製した配糖体の輸送評価システムを用い、HEK293細胞における配糖体の促進拡散現象を検出することに成功したため、現在までの進捗状況はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はLifeact-GBA3安定発現HEK293細胞を用い、4-MU-Glc添加時に生成する4-MUの蛍光強度を指標に、各種トランスポーター遺伝子の一過性発現およびRNA干渉実験を行い、配糖体トランスポーターの同定を行っていく予定である。
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