2020 Fiscal Year Research-status Report
経口メンケス病治療薬創出を目的とした銅錯体の薬物動態学的および製剤学的検討
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18K06762
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (10584815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深水 啓朗 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20366628)
高橋 秀依 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10266348)
児玉 浩子 帝京大学, 医学部, 講師 (00093386)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メンケス病 / 銅錯体 / ナノ粒子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
メンケス病は、銅輸送タンパク質ATP7Aの遺伝子異常により銅の吸収および組織移行が低下するため、中枢神経障害など銅欠乏に由来する重篤な症状を呈し、多くが幼児期に死亡する希少疾患である。本研究は、経口投与可能なメンケス病治療薬の創出を目的としている。 昨年度は、C3H/HeNCrlマウス (対照マウス) と比較してメンケス病モデル動物マクラマウスにおいては経口投与した銅錯体diacethyl-bis(N(4)-methylthiosemicarbazonato)-copper(II) (CuATSM) の銅が解離しやすいことを示した。今年度は、吸収性の増大を目的としてナノ粒子化したCuATSM (nCuATSM) をマクラマウスおよびC3H/HeNCrlマウスに経口投与し、その体内動態を検討した。 マクラマウスおよびC3H/HeNCrlマウスにnCuATSMを経口投与した後、経時的に尾静脈から採血し、CuATSMおよび銅が解離することにより生成するATSMの血漿中濃度をLC-MS/MSにより測定した。両マウスにおいて、CuATSM投与時と比較してnCuATSM投与時の方がCuATSMの最高血漿中濃度が高値を示したことから、マクラマウスにおいてもナノ粒子化によりCuATSMの吸収性が増大したことが示唆された。また、マクラマウスではC3H/HeNCrlマウスと比較して、CuATSMの血漿中濃度-時間曲線下面積 (AUC) は低値を、ATSMのAUCは高値を示し、それらのAUC比 (ATSM/CuATSM) はマクラマウスの方が約6倍高い値を示した。このことから、CuATSM投与時と同様に、マクラマウスにおいては銅とATSMに解離しやすいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした研究室の閉鎖、研究の規模の縮小に伴い、一部の実験を延期せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に合成した銅錯体について、これまでと同様の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
一部の実験が延期されたため、次年度使用額が生じた。次年度も同様に消耗品の購入に充てる予定である。
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