2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腎臓における薬物尿細管分泌の予測・評価系の構築
Project/Area Number |
18K06766
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桂 敏也 立命館大学, 薬学部, 教授 (10283615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬物トランスポーター / 尿細管分泌 / 経細胞輸送 / 薬物相互作用 / 培養細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腎臓における薬物の尿細管分泌の程度や各トランスポーターの寄与率を、in vitro実験から予測する評価系は確立されておらず、腎排泄型薬物のヒトでの体内動態や薬物相互作用を予測する上での障壁となっている。本研究は、薬物トランスポーターの発現制御や腎臓の発生・分化を担う転写因子に着目し、そのcDNAをヒト腎由来の培養細胞に導入することによって薬物トランスポーターの発現を誘導し、薬物の尿細管分泌を評価しうる試験系を確立することを目的とする。 本年度は転写因子 Hepatocyte nuclear factor-1α (HNF1α)をヒト由来培養腎上皮細胞HK-2に安定発現させた細胞を構築し、その解析を行った。HNF1α安定発現HK-2細胞において、HNF1αのmRNA発現は数百倍に上昇しており、その安定導入が確認された。この細胞における薬物トランスポーターの発現変動について検討したところ、OCT2やMATE2-K、MDR1のmRNA発現が数倍上昇していたが、ヒト腎臓における発現量と比較すると低いものであった。 現在、HNF4α安定発現HK-2細胞ならびにHNF1α/HNF4α共発現HK-2細胞の構築を進めており、これら細胞の樹立後に薬物トランスポーターの発現変動について精査する予定である。また、当研究室における検討で、HK-2細胞をDNAメチル化阻害剤やヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で処理することによって、一部の薬物トランスポーターの発現が上昇することを見いだしており、今後HNF安定発現HK-2細胞におけるこれら阻害剤の影響についてもあわせて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HK-2細胞における導入遺伝子の発現効率が低く、HNF4α安定発現HK-2細胞ならびにHNF1α/HNF4α共発現HK-2細胞の構築が当初の予定よりも遅れている。これらの構築が完了次第、当初の研究計画に沿って進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って計画を進めるとともに、エピジェネティックな制御機構にも着目し、DNAメチル化阻害剤やヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による影響についてもあわせて検討することで、薬物トランスポーターの発現量がヒト腎臓に近い細胞系の確立を目指す。
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