2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腎臓における薬物尿細管分泌の予測・評価系の構築
Project/Area Number |
18K06766
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桂 敏也 立命館大学, 薬学部, 教授 (10283615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬物トランスポーター / 尿細管分泌 / 経細胞輸送 / 薬物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腎臓における薬物の尿細管分泌の程度や各トランスポーターの寄与率を、in vitro実験から予測する評価系は確立されておらず、腎排泄型薬物のヒトでの体内動態や薬物相互作用を予測する上での障壁となっている。本研究は、薬物トランスポーターの発現制御や腎臓の発生・分化を担う転写因子に着目し、そのcDNAをヒト腎由来の培養細胞に導入することによって薬物トランスポーターの発現を誘導し、薬物の尿細管分泌を評価しうる試験系を確立することを目的とする。 本年度は転写因子 Hepatocyte nuclear factor-4α (HNF4α)をヒト由来培養腎上皮細胞HK-2に安定発現させた細胞の構築を試みたが、用いたリポフェクション法では遺伝子の導入効率が低く、HNF4αを高発現する安定発現細胞を得ることができなかった。また、HNF1α/HNF4α共発現HK-2細胞も構築することができなかった。 現在、ゲノム編集の技術を利用してHNF4α安定発現HK-2細胞ならびにHNF1α/HNF4α共発現HK-2細胞の構築を進めており、これら細胞の樹立後に薬物トランスポーターの発現変動について精査する予定である。また、当研究室における検討で、HK-2細胞をDNAメチル化阻害剤やヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で処理することによって、一部の薬物トランスポーターの発現が上昇することを見いだしており、今後HNF安定発現HK-2細胞におけるこれら阻害剤の影響についてもあわせて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度当初から、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出により大学構内への入稿が制限されたため、研究活動の停止を余儀なくされた。また、HK-2細胞における導入遺伝子の発現効率が低く、HNF4α安定発現HK-2細胞ならびにHNF1α/HNF4α共発現HK-2細胞の構築が当初の予定よりも遅れている。ゲノム編集の技術を用いてこれらの構築が完了次第、当初の研究計画に沿って進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者の助言を得てゲノム編集技術を導入し、HNF1α/HNF4α共発現HK-2細胞の構築を確実に進める。さらに、エピジェネティックな制御機構にも着目し、DNAメチル化阻害剤やヒストン脱アセチル化酵素阻害剤による影響についてもあわせて検討することで、薬物トランスポーターの発現量がヒト腎臓に近い細胞系の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発出により大学構内への立ち入りが制限され、研究活動の停止を余儀なくされたために、次年度使用額が生じた。研究計画において進捗が遅れている計画に対して経費を使用する予定である。
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[Presentation] Edoxaban blood concentrations vary considerably and correlate with anti-factor Xa activity in atrial fibrillation patients2020
Author(s)
Minoru Horie, Satoshi Ueshima, Daiki Hira, Toshiya Katsura, Tomohiro Terada, Kouichi Kato, Tomoya Ozawa, Hideki Itoh, Yohei Tabuchi, Miya Horie, Yoshihisa Nakagawa, Takeru Makiyama, Satoshi Shizuta, Asami Kashiwa, Takanori Aizawa, Takeshi Kimura, Moritake Iguchi, Masaharu Akao
Organizer
第84回日本循環器学会学術総会
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[Presentation] Population pharmacokinetics and pharmacogenomics of rivaroxaban in Japanese patients with atrial fibrillation2020
Author(s)
Satoshi Ueshima, Daiki Hira, Kenji Kuwata, Karin Hirata, Yohei Tabuchi, Hideki Itoh, Tomoya Ozawa, Yoshihisa Nakagawa, Minoru Horie, Tomohiro Terada, Toshiya Katsura
Organizer
第30回日本医療薬学会年会