2018 Fiscal Year Research-status Report
がん骨転移治療薬による副作用の早期発見と対策法の開発
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18K06770
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
池末 裕明 神戸学院大学, 薬学研究科, 連携准教授 (60748010)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 顎骨壊死 / 骨転移治療薬 / デノスマブ / 有害事象 / 副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨転移を有するがん患者を対象に、実臨床における副作用マネジメント、特に顎骨壊死とそのリスク因子に着目し、研究を展開した。その過程で、骨転移を有する悪性黒色腫患者に対する薬学的マネジメントを実施した。ダブラフェニブおよびメキニスト併用療法を受けた患者で、副作用全般的には十分マネジメントできたものの、唯一、腎障害が発現した。直ちに休薬したところ、腎機能は2週間で改善した。当初、夏季の脱水による一過性の腎機能低下を疑っており、休薬後に同治療を再開したところ、再現性をもって腎機能が低下した。この経緯から、ダブラフェニブ及びトラメチニブ療法による腎障害の可能性が高いと判断し、再度ダブラフェニブ・トラメチニブを休薬した。腎機能低下後、両薬物を1段階減量して再開したことろ、腎障害の再現を認めず、現在もなお治療継続中である。骨転移を有するがん患者を対象として、より安全ながん薬物療法を目指す本研究の成果を考える。 さらに、骨転移を有する肺がん患者における顎骨壊死、および免疫チェックポイント阻害薬による口内炎を含む免疫学的有害事象のマネジメントに着目し、引き続き研究を展開している。 より安全かつ長期に渡る骨転移治療を可能にするため、副作用の早期発見とその対策の開発を目的として、神戸市立医療センター中央市民病院病院で骨転移治療薬を受けたがん患者を対象に、①骨転移治療薬の投与法と副作用発現リスク評価、②ゾレドロン酸誘発腎障害を無侵襲で鋭敏に評価可能な尿中バイオマーカー候補の測定・評価、③薬剤性腎障害モデルラットを用いた腎障害発現メカニズムと回避策の探索を行う。さらに④副作用回避に向けた処方支援策を立案し、その有用性を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顎骨壊死のマネジメントに関する研究の進捗が遅れている。本研究では、これまで殆ど研究されていない骨転移治療の安全性向上を目指したものである。前述のとおり既に一部の結果を得ており、当初期待された結果が得られると考えている。一方、統計処理の結果有意差が出ない場合なども一部想定すべきであるが、本研究で実施する予定の顎骨壊死に特異的なバイオマーカー候補による評価法はこれまで検討されておらず、腎障害の発現メカニズムも殆ど明らかにされていない。本研究によって、これまで収集されなかったデータの評価解析が見込まれ、申請者らの想定している結果の如何に関わらず、本研究計画の実施によって将来の骨転移治療に役立つデータを収集することが可能であり、実施そのものの意義が極めて高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
がん骨転移治療薬による有害事象、特に、顎骨壊死の対策に関する研究を強力に展開する。具体的には、電子カルテより収集し解析したデータをもとに、顎骨壊死のリスク因子の解析を進め、高リスク患者におけるモニタリングの強化策を提案したいと考える。並行して、顎骨壊死を認めた後の臨床所見の経過についても評価する。 本研究では、これまで殆ど研究されていない骨転移治療の安全性向上を目指したものである。前述のとおり既に一部の結果を得ており、当初期待された結果が得られると考えている。一方、統計処理の結果有意差が出ない場合なども一部想定すべきであるが、本研究で実施する予定の顎骨壊死に特異的なバイオマーカー候補による評価法はこれまで検討されておらず、腎障害の発現メカニズムも殆ど明らかにされていない。本研究によって、これまで収集されなかったデータの評価解析が見込まれ、申請者らの想定している結果の如何に関わらず、本研究計画の実施によって将来の骨転移治療に役立つデータを収集することが可能であり、実施そのものの意義が極めて高いと考えられる。
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Causes of Carryover |
顎骨壊死のリスク因子に関する研究については、精力的に後方視的研究を実施したが、研究の進捗としてはやや遅れている。今後、血液内科病棟での検討を踏まえ、当初の計画とおりに進行できる様、引き続き研究を展開する。
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Research Products
(5 results)