2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of organ damage and oxidative stress caused by uremic toxins derived from the intestinal flora
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18K06774
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
門脇 大介 崇城大学, 薬学部, 教授 (70433000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 量 崇城大学, 薬学部, 教授 (20435142)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸腎連関 / TMAO / 短鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)対策は喫緊の課題であり,特に酸化ストレスは共通の原因因子として認識されている。このCKDがもたらす特徴的な病態は尿毒症であり,腎機能低下による老廃物の蓄積である。多くの尿毒症物質のうち,腸内細菌関連物質であるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)は近年注目されているが,その物性や各種病態時,特に腎臓病における役割について,その詳細の解明はスタートしたばかりである。そこでまずTMAOと酸化ストレスとの関連性について検討を行なったところ,腎臓細胞,血管内皮細胞,消化管上皮細胞並びに腎癌細胞の全てにおいて,酸化ストレスを増加させず,細胞毒性も示さなかった。これは実験方法をトレースしても既報とは異なる結果であり,検証が必要である. 次に,TMAOを含む尿毒症物質の多くは,腸内細菌由来であるが,特に腸内細菌叢は生体の生理及び病理機能に影響を及ぼすことが明らかになってきており,腸内細菌の代謝産物が腸内だけでなく,吸収されて体内に入り血流を介して遠隔臓器へ作用するためと考えられている.一方で,腸内細菌は細胞保護に働き,エネルギー源ともなる短鎖脂肪酸を産生することが知られているものの,これら尿毒症物質と短鎖脂肪酸の消化管における相互作用については検討されていない.そこで,各種尿毒症物質の消化管上皮(Caco-2)細胞に対する細胞障害性と短鎖脂肪酸の保護効果を検討した.その結果,TMAOやフェニル硫酸に対する毒性は観察されず,インドキシル硫酸のみが細胞毒性を示した.また,興味深いことに5つの短鎖脂肪酸についても1つだけがインドキシル硫酸による毒性を軽減することが認められた.この詳細なメカニズムについては,エネルギー代謝系に着目して現在検討を進めている.
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