2019 Fiscal Year Research-status Report
日本人における薬物性肝障害のゲノムバイオマーカー探索、関連機能解析と診断系構築
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18K06775
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 部長 (50215571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 憲昭 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 主任研究官 (60398394)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノム / 薬物性肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物性肝障害に関し、主に5箇所の拠点病院より、発症患者の血液および臨床情報を収集した。平成31年4月~令和元年2月で、10例を収集した。ゲノムDNAを用いたHLA解析は、PCR-SSO法により行った。またゲノム網羅的遺伝子多型解析は、イルミナ社Human Omni2.5-8ビーズチップ(ゲノム広域に分布する一塩基多型を中心とした約250万遺伝子多型のタイピングチップ)を用いて行った。対照としては、日本ファーマコゲノミクス・データサイエンスコンソーシアムから譲渡を受けた約2,800人の日本人健康成人におけるHLA及び遺伝子多型の頻度情報を用いた。発症群と対照群におけるHLA型や遺伝子多型頻度を比較するケース・コントロール研究を行い、Fisherの正確確率検定等を用いて統計解析を行った。多重性補正は、Bonferroni法により行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに収集した総収集検体数は、304例となった。なお、一部の例外を除き、日本肝臓学会のDDWJ-2004ワークショップで制定された薬物性肝障害のスコアリングに基づき、専門医が総スコア5点以上を付けた「可能性有り」または「可能性が高い」症例を収集した。被疑薬は多岐に及んでおり、最も症例数の多いアセトアミノフェン(現在31例)、ロキソプロフェン(現在16例)、スタチン(現在16例)はある程度の症例数が集積されつつあるが、その他では、ニューキノロン系の合成抗菌薬(現在14例)、クラリスロマイシン(現在12例)、サイコを含有する漢方薬(現在12例)及びモサプリド(現在9例)等であり、本研究では全症例の解析とアセトアミノフェン、ロキソプロフェン、スタチンの解析に集中することとした。ゲノム解析は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
アセトアミノフェン、ロキソプロフェン、スタチン以外の個別医薬品に関しては、まだ集積まで時間がかかると思われる一方、病型別の解析では、肝細胞障害型が195例となり、混合型の54例と合わせて249例となって解析に耐えうると考えられるため、ゲノム網羅的な関連解析を行い、取りまとめを予定している。
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Causes of Carryover |
予想より、試料収集が遅延したことから、一部の遺伝子多型解析を次年度に回したため。
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