2018 Fiscal Year Research-status Report
Effects of C-reactive protein and nuclear receptors on pharmacokinetics of voriconazole
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18K06778
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
新岡 丈典 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20722276)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ボリコナゾール / ボリコナゾールN-オキシド体 / CYP2C19遺伝子多型 / 核内受容体遺伝子多型 / CRP |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度において、各CYP2C19遺伝子多型群におけるC反応性蛋白(CRP)と投与量(D)で補正したVRCZトラフ濃度(C0)(C0/D)あるいはVRCZ/ VRCZ N-オキシド体(N-ox:CYP2C19を介して生成される主代謝体)との相関関係について検討した。CYP2C19*1アレル保有者群(EM群)のC0/DおよびVRCZ/N-oxは、CYP2C19*2または*3アレルのホモまたはヘテロ接合群(PM群)と比較し、有意に低かった(各々P < 0.05)。*17アレル保有者は、現時点において存在しなかった。CYP2C19EM群およびPM群におけるCRPとVRCZ/N-oxとの間の相関係数は、r = 0.48およびr = 0.18であり、いずれも有意差は認められなかったが、解析症例数少なかったことが原因として考えられる。したがって、今後ある程度の症例数が確保されれば、統計学的に有意な相関関係が認められる可能性も十分に考えられる。また、CYP2C19*1アレル保有者群に関しては、十分な症例数が確保された後、*1/*1群と*1/*2+*1/*3群に分けて検討を行う予定である。一方、1患者内において、CRPの変動が大きかった患者群においては、CRPが正常値(< 1.0 mg/dL)の時と比較し、炎症時(> 4.0 mg/dL)において、VRCZ/N-oxは高い値を示した。対照的に、CRPの変動が小さかった患者群においては、比較的VRCZ/N-oxの個体内変動も小さかった。CRPがどの程度まで上昇するとVRCZ/N-oxが変動し始めるかについては、十分な症例数が確保された後、統計解析を実施し明らかにする予定である。加えて、CYP2C19遺伝子多型別に見た個体内変動の大きさについても、今後併せて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度においては、研究計画立案当初の見込みよりもVRCZ使用患者数が少なく、十分なパワーで統計解析を実施できなかった。特にCRPが正常範囲内で使用される患者(VRCZ予防投与患者)の確保が困難であった。したがって、現段階における解析結果の数値の信頼性は低いと考えられる。一方、1患者内において、繰り返しVRCZの血中濃度を測定した患者の数は、当初の見込みより多かったことから、C0/DおよびVRCZ/N-oxの患者間変動に加え、今後、患者内変動に関するデータ解析も実施できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、C0/DおよびVRCZ/N-oxに及ぼすCYP2C19遺伝子多型およびCRPの影響に加え、核内受容体遺伝子多型 [pregnane X receptor(PXR)*1B、constitutive androstane receptor(CAR)rs2307424、retinoid X receptor alpha(RXRa)rs7850212]の影響についても解析する予定である。しかし、統計解析に耐えうる十分な症例数を確保できるかについては予測困難である。そこで、CYP2C19活性を評価する際にプローブとして使用されることもあるオメプラゾールのS体(エソメプラゾール)について、同様の検討を行う予定である。エソメプラゾールは、CYP2C19を介してデスメチル体、およびCYP3A4を介してスルホン体に代謝されることから、各々の代謝レシオ(エソメプラゾール/各代謝体)を目的変数として、CRP、CYP2C19遺伝子多型、核内受容体遺伝子多型との関連について検討する予定である。また、CYP2C19遺伝子多型別に患者内におけるVRCZ/N-ox変動とCRP変動との関連についても解析し、炎症反応がどの程度強くなればVRCZの血中濃度が上昇しやすくなるのかについても、併せて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の研究において必要な試薬は全て購入した。研究立案当初の予算との差額は僅かである。今後実施予定の研究において、薬物血中濃度測定および薬物応答性遺伝子多型解析用試薬の購入費として、今年度の予算と合わせて使用する予定である。
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