2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel DDS technology for effective treatment of refractory cancer
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18K06784
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大河原 賢一 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30291470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜垣 和孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60284080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん治療 / 新生血管 / 光線力学療法 / ナノ粒子 / ドラッグ・デリバリー・システム |
Outline of Annual Research Achievements |
光増感剤含有ナノ粒子投与後に,固形がん選択的な光照射により血管内で局所的に発生する一重項酸素などの活性酸素種により,難治性がん組織内血管の低い透過性を一時的に亢進させ,その後に別途投与する抗がん剤等含有ナノ粒子製剤の腫瘍組織集積性を改善し,高い抗腫瘍効果を達成する「光誘発型の腫瘍組織選択的な血管透過性亢進技術」の構築を目指し,種々検討を加えた結果,腫瘍組織内の血管透過性が低い固形がんに対して,上記光誘発型の処置を施すと,ペリサイトに覆われた構造的に安定な血管が減少し,腫瘍内の血管透過性が亢進することで,その後に投与する抗がん剤内封リポソーム製剤の腫瘍組織移行量が増大した結果,その抗腫瘍効果が増強されたことを示唆する極めて興味深い結果を得た. 一方,腫瘍組織内の血管透過性がもともと高い固形がんに対しては,光誘発型の処置単独で顕著な腫瘍増殖抑制効果が認められた.その理由としては,血管透過性の高い血管を構成している血管内皮細胞はペリサイト被覆の乏しい不安定な血管構造を有しているため,局所で発生した各種活性酸素種に対する感受性が高く,そのことが腫瘍内の血管内皮細胞のアポトーシス、並びに血栓形成の誘発,更にはその周辺に存在していたがん細胞のアポトーシスを引き起こすこととなったものと推察された.これらの結果は,ナノ粒子製剤を利用したがん化学療法の治療成績の更なる改善を目指す上で、製剤あるいは内封薬物の血中滞留性や腫瘍組織への移行性といったマクロな視点での動態制御のみならず、腫瘍組織局所における内封薬物の放出性や腫瘍組織内の微小環境に依存したナノ粒子の局所動態といった、ミクロな観点からの動態制御が極めて重要であることを明確に示す非常に有益な知見であると考えている。
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