2019 Fiscal Year Research-status Report
移植肝の遺伝的背景に着目した拒絶反応回避に関する新規分子機構の探索
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18K06786
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田島 壮一郎 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (10579460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タクロリムス / 肝移植 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
タクロリムスは臓器移植後の拒絶反応抑制を目的に使用されるが、薬物動態の個体差が大きいため、血中濃度モニタリングに基づく投与設計が必須とされている。タクロリムス体内動態の個体差は薬物代謝酵素CYP3A5の機能欠損を引き起こすCYP3A5*3多型(遺伝子多型)の影響を強く受ける事などが明らかにされている。しかし、血中濃度が目標域にあるにもかかわらず拒絶反応を示す症例が散見され、タクロリムスに対する感受性にも個人差があることが指摘されている。 我々は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染している肝移植患者を対象とした網羅的な遺伝子解析を実施し、肝移植後のHCV治療あるいは免疫抑制療法に対する感受性に影響を与える新しい遺伝子を見出し、これらの遺伝子を「Immunomodulatory factors of hepatitis C reactivationand rejection 」(以下、IFR)と命名した。移植肝の肝実質細胞表面におけるIFRの発現量や種類の差などが免疫調節作用を有する、すなわち細胞傷害作用あるいは細胞傷害抑制作用に影響を及ぼす結果、抗ウイルス療法の奏効/非奏効を決定するという仮説を立てた。臓器移植術において、急性拒絶反応に関与しているのは主に細胞障害性T細胞と細胞障害性リンパ球と考えられている。IFRはCTLの細胞死を誘導するとの報告があるが、詳しいシグナル伝達やNK細胞に対する作用については不明である。 そこで本研究では、IFRが細胞障害性リンパ球に対して細胞障害性T細胞と同様に細胞死または細胞傷害活性の低下を誘導するのかを明らかにするため、ヒトNK様細胞株KHYG-1とヒト慢性骨髄性白血病細胞株K562を用いてkilling assayを行った。その結果、組み換えIFRを添加することによって、KHYG-1細胞の細胞傷害活性が低下する傾向にあることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IFRのNK細胞に対する影響を評価するため、フローサイトメトリーを用いてkilling assayを行った。killing assayの細胞条件は、白血病患者より樹立されたヒトナチュラルキラー (NK) 様細胞株であるKHYG-1細胞(Effector細胞)およびヒト前骨髄性白血病細胞株であるK562細胞(Target細胞)を用いて、Effector:Target比が5:3となるように共培養した。共培養後6時間におけるTarget細胞のAnnexin-V陽性細胞率を比較することでNK細胞による細胞障害性を評価した。またIFRをKHYG-1細胞およびK562細胞にそれぞれ6時間添加した場合、細胞死を認めないことを確認した後、killing assayを実施した。killing assayの結果、IFRを添加することにより、K562細胞のアポトーシスを約7%低下することを明らかにした。一方でIFRの作用メカニズムについては、まだ結果が得られておらず当初の計画より遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
Killing assay系を用いてIFR存在下でKHYG-1の細胞傷害活性が低下することを明らかにしたが、どのような受容体や細胞内シグナルが関与しているかについては不明である。そこで、今後はIFRによる細胞内シグナル伝達経路に焦点をあてて解析を行い、IFR の作用メカニズムについて明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
IFRによる細胞内シグナル解析が次年度に移行したため、試薬購入支出が予定よりも減少し次年度使用額が生じた。当初の予定どおり試薬の購入費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)