2019 Fiscal Year Research-status Report
多剤併用による認知機能低下回避を目指した臨床-基礎融合研究による相互作用解明
Project/Area Number |
18K06796
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 教授 (80326123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 圭一 帝京大学, 薬学部, 助手 (80424852) [Withdrawn]
中谷 絵理子 (林絵理子) 帝京大学, 薬学部, 助教 (90803916)
赤下 学 帝京大学, 薬学部, 助教 (90781542)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリファーマシー / 薬剤性認知機能障害 / 薬歴データベース / 受容体占有 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会における医療をどう支えるのか、薬学人を含めて医療に関わる総ての者が取り組むべき課題である。高齢者薬物療法の課題のひとつであるポリファーマシーについて、その解消に向けた取り組みが広がっている。一方、多剤併用時の相互作用解析は重要であるにもかかわらず、そのメカニズム解明はそれほど進展していない。臨床研究のみからポリファーマシー発現メカニズムを明らかにするのは困難であり、基礎研究において多剤併用薬剤の網羅的な相互作用解析は現実的でない。そこで、臨床と基礎の統合研究が重要となってくる。特に薬剤学は、ブリッジングサイエンスとして臨床と基礎の統合研究推進に大きな武器となる。実臨床において有害事象を発現しやすい多剤併用薬剤の組み合わせを抽出し、抽出した組み合わせの多剤併用時に起こる相互作用メカニズムを動物実験による解明を目的とした。 実臨床において有害事象を発現しやすい多剤併用薬剤の組み合わせを抽出するために、有害事象自発報告データベースを活用するとともに、薬歴情報を活用したデータベース化を進めた。高齢者入居施設で在宅支援を行っている薬局と連携して、患者情報、処方薬情報、有害事象発現情報を収集し、データベース化ツールを作成して高齢者に有害事象を誘発し得る多剤併用薬剤の組み合わせの探索を進めた。 多剤併用による相互作用メカニズム解明のために、複数薬物の高感度かつ同時測定が可能な質量分析計を用いた動物実験系を構築している。多剤併用薬剤の一斉分析による薬物動態学的相互作用解析に加えて、薬効および副作用発現の指標となる複数の受容体占有率の同時測定により薬力学的相互作用の解析が可能となる。ムスカリン受容体を含む複数の脳内受容体結合を測定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多剤併用による認知機能低下回避を目指した臨床-基礎融合研究の基盤整備は進んでいるが、候補薬の相互作用解明までは至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
有害事象自発報告データベースを含めた実臨床における有害事象・薬歴情報のデータベース解析と、動物実験による相互作用メカニズム解明により、多剤併用による認知機能低下回避とポリファーマシーのメカニズム解明を目指す。さらに患者情報や日本版抗コリン負荷スコア等を用いて有害事象発現リスクのスコア化を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)2019年度購入予定であった消耗品費が当初予定よりも低予算で済んだため、次年度使用額が発生した。 (使用計画)次年度使用額(1,425,964円)については消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)