2019 Fiscal Year Research-status Report
The development of a novel mucosal vaccine system using NO donors
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18K06798
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
多田 塁 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (70635888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 粘膜ワクチン / 一酸化窒素 / 抗原 / 感染症 / デリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代型ワクチンとして期待されている粘膜ワクチンではあるが、粘膜面は免疫応答を誘導しがたいために実用化されているものは限られている。この要因として、粘膜面は上皮層によって抗原のような高分子の通過が制限されていることが挙げられる。本研究は、抗原分子を粘膜上皮層下に存在する抗原提示細胞へ送達する技術を低分子化合物により達成することを目的としている。申請者は、一酸化窒素が経粘膜吸収性の低い化合物の吸収性を促進することに着目し、一酸化窒素供与体と抗原を経粘膜投与することによって抗原の粘膜固有層への送達が可能となると考えた。2018年度に一酸化窒素供与体であるニトロプルシド(SNP)、モデル抗原としてオボアルブミン(OVA)を用いBALB/cマウスへ経鼻投与したところ、抗原特異的粘膜IgA産生および血清IgG産生の亢進がみられた。また、種々の条件最適化が完了した。これらを踏まえ2019年度では下記の検討をおこなった。 【SNPと一酸化窒素を発生しないSFCの活性比較】 SNP経鼻投与による抗原特異的抗体産生の亢進が一酸化窒素の生体内での発生を介しているか確かめる目的で、一酸化窒素を発生しないアナログであるSFCをOVAとBALB/cマウスへ経鼻投与し抗原特異的抗体産生を指標に評価したところ、SFCはSNPと比較し優位に抗体産生が低いことが明らかとなった。 【SNP経鼻投与の安全性評価】 SNPの経鼻投与が抗原特異的抗体産生を亢進することが明らかとなっている。SNPは臨床で既に用いられ安全性が高いと考えられるが、経鼻投与による知見はほぼ存在しない。そこで、SNPの経鼻投与による安全性を体重変化と炎症性遺伝子発現を指標に検討した。その結果、SNPの頻回経鼻投与はマウスの体重減少および炎症性遺伝子発現等は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標として挙げていた本粘膜ワクチンシステムがSNPによる鼻腔内での一酸化窒素の発生を介している可能性を示唆するデータが得られた。さらに、本システムの安全性評価もほぼ完了したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本システムが実際に一酸化窒素の発生によるタイトジャンクションの開口を介して抗原特異的抗体産生を亢進しているのかをさらに検証する。また、本粘膜ワクチンシステムの有用性を肺炎球菌感染モデルマウスを用いて検証する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究計画はおおむね予定通りに進んだが、充足率の関係で購入予定であった安全キャビネットの購入を断念したことが影響していると考えている。 (使用計画) 次年度使用計画としては、予定通りに執行予定である。また、予算の使用状況によっては今年度購入予定だった安全キャビネットの購入も考慮する。
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