2019 Fiscal Year Research-status Report
疾患糖鎖生物学に基づくIgA腎症の新規治療薬の開発
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18K06800
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
上村 和秀 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (20303844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 糖鎖修飾 / オリゴマンノース型糖鎖 / マンナン結合タンパク質 / 補体 / 阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、IgAのオリゴマンノース型糖鎖修飾が補体レクチン経路の第一因子であるマンナン結合タンパク質(MBP)を介してIgA腎症の発症と進展に関与する可能性を検証し、その機序に基づいて新しい腎炎治療薬を開発することを目的としている。2018年度はいくつかのNアセチルグルコサミン誘導体が阻害活性を有することを見い出し、これが、MBPが関与する炎症性疾患の阻害薬のリード化合物になることが示唆された。2019年度はIgA産生マウス骨髄腫由来MOPC315細胞を糖鎖プロセシング阻害剤デオキシマンノジリマイシン(DMM)の存在下で培養し、このIgAを抗原特異的アフィニティークロマトグラフィー法を用いて単離精製して得られたオリゴマンノース型糖鎖を有するIgAを抗原であるDNPとともに静脈注射したところ、コントロールとして用いたDMM処理していない通常型糖鎖修飾IgAに比べて顕著な血尿の亢進、すなわち、投与後の一過性の腎障害の亢進が認められた。この結果はIgAのオリゴマンノース型糖鎖修飾がIgA腎症の増悪に関与することを直接的に実験で証明したこれまでにない新知見であり、今後さらに詳細に検討を進めていく。オリゴマンノース型糖鎖修飾が腎炎増悪に寄与することを示すためには、別の方法でIgA腎症を進行させる疾患モデルを適用してIgA糖鎖に変化が生ずるか否かを調べる必要がある。現在、その方法として、インフルエンザウイルス投与IgA腎症増悪モデルを検討しているところであり、オリゴマンノース型糖鎖に結合して補体を活性化して炎症を惹起するMBPがIgA腎症の病態生理に深く関与することを示唆する知見を揃えつつある段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オリゴマンノース型糖鎖を有するIgAを投与することにより、一過性の血尿を生ずることを明らかにできたものの、ウイルス投与モデルによる腎障害増悪モデルにおいて、実際に糖鎖修飾に変化が生じているか否かの検証がまだできていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れているものの、本年度は、本研究課題の核心部分を成す成果を得ることができた。すなわち、オリゴマンノース型糖鎖が腎炎増悪に関与するという仮説を直接的を証明した。今後は、ウイルス投与モデルによる腎障害増悪モデルを確立して、生体内でIgA糖鎖に変化が生ずることを確認する。このことにより、腎炎増悪機序におけるオリゴマンノース型糖鎖修飾の関与についてより深い検証を進めることにする。
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Causes of Carryover |
本研究は研究代表者と大学院生1名が共同して実施しているが、これを補助するために雇用した研究補助員の人件費が予定よりも若干少なくなったために次年度使用額が生じた。余剰分は次年度の研究補助員に対する人件費として使用し、研究の一層の進捗に資することとする。
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