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2019 Fiscal Year Research-status Report

SGLT2 阻害剤による重篤な皮膚障害の発症メカニズムの解明と予防/治療法の探索

Research Project

Project/Area Number 18K06804
Research InstitutionKyoto Pharmaceutical University

Principal Investigator

栄田 敏之  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (00304098)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 西口 工司  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80379437)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
KeywordsSGLT2阻害剤 / 重篤な皮膚障害 / 皮膚組織移行性 / ipragliflozin / ヒト角化細胞・繊維芽細胞3次元培養系 / STAT3
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度に実施したSGLT2 阻害剤5 種類のラット体内動態の評価を継続し薬物動態学的な解析を行った。常法に従って回帰モデルの妥当性を評価した結果、重篤な皮膚障害が起こり難いとされるdapagliflozin、tofogliflozin、canagliflozinについては循環血液中と皮膚組織との間の平衡を仮定したモデルへ回帰できること、一方で、重篤な皮膚障害が起こるとされるipragliflozinでは皮膚組織中にdeep compartmentを仮定しない限り回帰できないことが明らかになった。このことからも、ipragliflozinが皮膚組織に存在する何らかの物質と相互作用を起こすことが示唆された。
平成30年度に実施したヒト角化細胞・繊維芽細胞-3 次元培養系を用いたマイクロアレイ解析にてipragliflozinによるSTAT3 mRNA発現量増大が示唆されたので、ヒト皮膚組織由来細胞の単相培養系を用いて詳細な検討を行った。その結果、角化細胞ではipragliflozinによるSTAT3の活性化が認められなかったが、真皮細胞では活性化が確認できた。ただし、dapagliflozinでも活性化を認めたので、皮膚組織中におけるipragliflozinに特異的な動態がipragliflozinによる重篤な皮膚障害に関与していると推察できた。
平成31年度では重篤な皮膚障害を引き起こす薬物リストの作成も実施した。国内外の医薬品副作用データベースのデータマイニングを行った結果、非常に多くの薬物がリストアップされた。SGLT2 阻害剤と同様に、ラットを用いた評価、in vitroの評価を介して、重篤な皮膚障害にかかる因子の同定を行う予定であるが、その前に絞り込み作業が必要であると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度実施分、すなわち、SGLT2阻害剤のラット皮膚組織滞留性の検討、in vitro細胞培養系における検討が共に予備的なものであるという側面があったことから、平成31年度においては、ラットを用いた評価、in vitroの評価とも詳細な検討を追加した。ラットを用いた評価の結果はこれまでの結果を支持するものであり、また、in vitroの評価では、より詳細な情報が入手できた。平成31年度では、さらに、ビッグデータのデータマニングにより重篤な皮膚障害を引き起こす可能性の高い薬物リストも作成した。今後、SGLT2 阻害剤と同様の評価を実施する。一連の評価により、ipragliflozinに特異的な重篤な皮膚障害ではなく、一般的な薬剤性の重篤な皮膚障害の原因究明を目指す。ただし、研究実績の概要に記載の通り、データマイニングにより非常に多くの薬物がリストアップされたことから、データマイニング作業の見直しを行い、ラットを用いた評価、in vitroの評価に供すべき薬物を選別することが課題である。なお、平成31年度に実施した検討結果の多くは既に学会で発表済であり、また投稿準備中である。

Strategy for Future Research Activity

SGLT2阻害剤を用いたin vitro細胞培養系における検討を継続し、ipragliflozinによる重篤な皮膚障害の原因を明らかにする。具体的には、ヒト角化細胞・繊維芽細胞-3 次元培養系を用いたマイクロアレイ解析-pathway解析にてipragliflozinによるchemokine pathwayの変化が示唆されているので、ヒト皮膚組織由来細胞の単相培養系を用いて、STAT3にかかるシグナルの変動を広く探索するとともに、chemokine(CCL1等)およびのchemokine以外のcytokine(IL-16等)の分泌の変動を検討する。また、皮膚組織中におけるipragliflozinに特異的な細胞レベルの動態を明らかにする。一方、データマイニング作業の見直しにあたっては、シグナル検出法の見直し(reporting odds ratio等の一般的なシグナル指標以外の利用)、既存のビッグデータの活用以外の方法(公開されている審査報告書の利用)も模索する。局所的な皮膚障害と全身的な皮膚障害の識別を行った上で、ラットを用いた評価、in vitroの評価に供すべき薬物を選別する。さらに、重篤な皮膚障害の原因にかかるタンパク質と薬物間の相互作用シミュレーションを介して、重篤な皮膚障害の予防/治療が期待できる方法を探索する。

Causes of Carryover

平成30年度助成金額の未使用額176,093円と平成31年度助成金額1,100,000円の計1,276,093円のうち1,817円が未使用であった。社会情勢の急激な変化に伴い、平成31年度末に研究活動が制約を受けたためと考えている。令和2年度に使用予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2019

All Presentation (6 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 2型糖尿病モデルラットにおけるSGLT2阻害薬canagliflozinの体内動態と血糖降下作用との関係2019

    • Author(s)
      足立任、今村悠太、桑津明子、山口玲奈、河渕真治、伊藤由佳子、栄田敏之
    • Organizer
      日本薬学会第139年会(千葉)
  • [Presentation] 2型糖尿病モデルラットにおけるSGLT2阻害薬tofogliflozinの体内動態と血糖降下作用との関係2019

    • Author(s)
      今村悠太、足立任、桑津明子、山口玲奈、河渕真治、伊藤由佳子、栄田敏之
    • Organizer
      日本薬学会第139年会(千葉)
  • [Presentation] ラットにおけるSGLT2阻害剤の血漿中濃度および臓器、皮膚組織中濃度推移の比較2019

    • Author(s)
      片山英人、豊田凌大、鈴木悠実、松尾直弥、河渕真治、伊藤由佳子、栄田敏之
    • Organizer
      第69回日本薬学会関西支部総会・大会(神戸)
  • [Presentation] SGLT2阻害剤の皮膚障害に関する研究―ラット体内動態データの薬物動態学的解析とマイクロアレイ解析―2019

    • Author(s)
      豊田凌大、片山英人、鈴木悠実、松尾直弥、河渕真治、山本和宏、伊藤由佳子、矢野育子、栄田敏之
    • Organizer
      第69回日本薬学会関西支部総会・大会(神戸)
  • [Presentation] SGLT2阻害薬の糖新生に対する肝での直接作用2019

    • Author(s)
      越智章展、森克仁、河渕真治、上殿英記、角谷佳則、山崎祐子、森岡与明、塩井淳、庄司哲雄、絵本正憲、栄田敏之、稲葉雅章
    • Organizer
      第31回分子糖尿病学シンポジウム(東京)
  • [Presentation] SGLT2阻害薬による重篤な皮膚障害と皮膚組織への移行性2019

    • Author(s)
      栄田敏之
    • Organizer
      日本薬物動態学会第34回年会(つくば)
    • Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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