2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel prediction method for oral absorption of drugs from lipid based formulation
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18K06808
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
田中 佑典 広島国際大学, 薬学部, 助教 (10435068)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脂質分散製剤 / 消化管吸収 / リパーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質分散製剤(LBF)からの薬物吸収性予測法の開発を最終的な目的として、LBF調製法およびモデル薬物サキナビル(SQV)の消化管吸収実験を行った。 実験計画書には低溶解性、低膜透過性のモデル化合物としてコエンザイムQ10を記載していたが、コエンザイムQ10はLBF中に十分溶解せず、動物実験において十分な投与量が確保できなかったため、SQVに変更した。 【LBFの調製】長鎖脂肪酸で構成されたトリグリセリドを含むLBF (L-LBF)および中鎖脂肪酸で構成されたトリグリセリドを含むLBF (M-LBF)を調製しSQVを溶解させた。次にL-LBFおよびM-LBFを蒸留水に2.5または10 w/w%の濃度で分散させ、エマルションを調製した(それぞれL-LBF2.5、L-LBF10、M-LBF2.5、M-LBF10)。この時、SQV濃度は両L-LBFで0.607 mg/mL、両M-LBFで1.493 mg/mLである。 【消化管吸収実験】各エマルションをラットに1mL経口投与後、経時的に採血し、血漿中SQV濃度を測定した。またSQV濃度はそれぞれのSQV投与量で補正し解析した。その結果、両L-LBF投与群の吸収性は両M-LBF投与群と比較して約1/2に低下した。これはリパーゼによるL-LBFの消化が、M-LBFよりも遅いため、SQVの消化管内の水相中濃度が低くなったためと考えられた。また、L-LBF10投与群のTmaxはL-LBF2.5投与群よりも1時間遅延した。これはL-LBF10ではSQV投与量に対するL-LBF量が多いため、消化に時間がかかったためと考えられた。 従って、SQVの消化管吸収において、LBFの消化速度が大きく影響する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、モデル薬物としてコエンザイムQ10を使用したが、コエンザイムQ10はLBF中に十分溶解せず、動物実験において十分な投与量が確保できなかったため、SQVに変更した。その結果、当初の予想通り、LBFの消化速度が薬物吸収に影響することがin vivo吸収実験により示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質分散製剤からの薬物吸収性を評価・予測するためには、吸収に影響を与える要因を明らかにしなければならない。 これまでの検討で、LBFの消化速度がSQV吸収に大きく影響する可能性が示唆された。今後は、LBFの消化速度がSQV吸収に及ぼす影響をin vitro消化試験やin situ closed loop法などにより確認していく予定である。
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Causes of Carryover |
モナシュ大学より、SQVおよびカラムなどの消耗品を頂いたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額はラットおよびその他の消耗品、旅費に使用する予定である。 今後はin vitro消化試験やin situ closed loop法などにより、LBFからのSQV吸収機構を明らかにしていく予定である。
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