2018 Fiscal Year Research-status Report
開口分泌小胞形成過程における脂質二重膜の生理機能とその破綻による病態の解明
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18K06815
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田中 俊昭 山形大学, 医学部, 助教 (70536987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 開口分泌複合体 / Sec6 / HSP27 / ジアシルグリセロールキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
DGKアイソザイムの分子多様性の解明ならびに細胞内での様々なシグナル伝達機構を解析するのに伴い、開口分泌関連分子であるSecファミリーが細胞に及ぼす様々な機能についても研究を進めてきた。研究を進めていく中で、開口分泌複合体の構成要素であるSec6が、MAPキナーゼのひとつであるp38MAPKのリン酸化を介することによって、ヒートショックプロテイン27(HSP27)のリン酸化を制御していることがわかった。 このHSP27におけるリン酸化は、部位特異的であり、セリン78番目とセリン82番目がリン酸化修飾を受けるが、セリン15番目はリン酸化修飾を受けなかった。このHSP27における78番目と82番目のセリンのリン酸化修飾によって、TNF-alpha とサイクロヘキシミド刺激による細胞のアポトーシス制御と細胞遊走の制御が行われることが分かった。 このことは、細胞内におけるSec6が、いわゆる分泌小胞を形質膜に輸送する機能とは全く別に細胞内のMAPキナーゼを介したシグナル伝達に関与していることを示唆するものであり、開口分泌複合体の新たな機能として、見い出されたものである。 この開口分泌複合体の新たな機能が、形質膜におけるイノシトールリン脂質代謝系にどのような関わりを持っているのか、また形質膜のジアシルグリセロールキナーゼの機能にどのような影響を及ぼすのかを現在研究中であり、解析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質膜におけるジアシルグリセロールキナーゼの機能と開口分泌複合体との関係性を考慮して、実験を進めていく中で、開口分泌複合体のひとつであるSec6が、HSP27のリン酸化に関与していることは当初の計画では予期していなかったが、開口分泌複合体の新規機能の解析といった点からすると、おおむね順調に研究は進んでいると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は開口分泌複合体Sec6が、HSP27と関係していることからジアシルグリセロールキナーゼとHSP27との関係性について研究を進めていく予定であり、ジアシルグリセロールキナーゼの新規機能を探索していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究の解析結果を受けて、本格的に様々な実験を行うのに必要な経費がかかる見込みであるため。
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