2021 Fiscal Year Research-status Report
Nager症候群における顎顔面形態異常の発生学的成因の解明
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18K06821
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
武智 正樹 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10455355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
要 匡 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, ゲノム医療研究部, 部長 (40264288)
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Nager症候群 / スプライシング / スプライソソーム / Sf3b1 / Sf3b4 / Pladienolide B |
Outline of Annual Research Achievements |
Nager症候群の原因遺伝子であるスプライシング因子Sf3b4の神経堤細胞特異的ノックアウトのホモ欠失マウス(Sf3b4fl/fl)をクローニングフリーCRISPR/Cas9システムにより作出したところ、早期胎生致死であることが判明した。この原因を検討したところ、CRISPR/Cas9システムのオフターゲット効果による弊害の可能性が考えられ、当初の研究計画にあった組織特異的ノックアウトマウス解析は実施できなかった。昨年に引き続きSf3b4のスプライシング機能を減弱させるため、Sf3b4の共役因子であるSf3b1の機能減弱をターゲットとした。SF3B1の阻害剤であるPladienolide Bを野生型妊娠マウスに腹腔内投与したところ、胎齢8.0-9.5日胚前後で投与した場合に神経上皮や頭部間葉において細胞死の割合が増加することを免疫組織化学染色にて確認した。この細胞死を引き起こす分子カスケードを明らかにするため、現在Pladienolide B投与胚から抽出したRNAを用いてアポトーシス関連因子であるATF3やTap73等の発現が変化しているかをRT-PCRやqPCRにて検討中である。別のSf3b1阻害剤であるHerboxidieneについても同様に野生型妊娠マウスに投与したが、著名な異常は見られなかった。次にSf3b4ヘテロ欠失妊娠マウスにPladienolide Bを腹腔内投与したところ、胎齢8.0-9.5日胚前後で投与した場合に野生型妊娠マウスへの同量投与よりも重篤な表現型を生じることがわかった。顎顔面部に形成異常を認めたため、Nager症候群と同様の形成不全が生じた可能性が示唆された。胎齢9.5日以降にPladienolide Bを腹腔内投与した場合、頭蓋顔面を含む全身において著明な形態異常は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りにスプライソソーム症の一つであるNager症候群の疾患モデルマウスの作出のその解析を終え、この過程における未解決の問題について着手し、必要な実験データが蓄積してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
SF3B1の阻害剤であるPladienolide BをSf3b4ヘテロ欠失妊娠マウスに腹腔内投与し、胎児の顎顔面部の形成異常の原因を分子レベルで明らかにする。
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Causes of Carryover |
計画に一部変更があったため、次年度使用額が生じた。次年度は最終年度となるため、残額全てを使用する計画である。
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