2019 Fiscal Year Research-status Report
成長板を発生起点とする骨髄造血ニッチ形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
18K06832
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
原口 竜摩 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00423690)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | Hhシグナル / 造血ニッチ / 成長板 / 組織系譜解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、成長板軟骨から作用を受けた特定の細胞(Hhシグナル受容細胞)が、造血幹細胞ニッチの発生起源であることを、成長板由来の細胞集団に着目したGLT法をベースとする組織系譜解析によって明らかにすることである。特に、1)成長板由来の細胞に連なる細胞系列が造血ニッチにコミットする際の組織系譜とその細胞特性は? 2)それらは造血に資する機能を有しているか? 3)それらを造血ニッチの細胞系列へと選択的に分化させる分子カスケードは? の以上3つのポイントを、本研究課題のspecific aimとしている。
1)に関しては、成長板由来のHhシグナル受容細胞が骨髄中に長期間存在しうることを、fate mappingによって確認した。また、大部分の標識細胞が、造血系細胞に直に接触していることも判明した。責任著者としてその研究結果の一部を、国際学術雑誌に報告した。また、成長板由来のHhシグナル受容細胞において、Hhシグナルの発現修飾を行ったところ、特にHhシグナルが過剰に活性化された状態では、長管骨内で脂肪髄化が亢進することが明らかになった。現在、その病態の発症メカニズムについて、解析を進めている。2)については、成長板由来のHhシグナル受容細胞特異的なジフテリア毒素受容体(DTR)強制発現系を応用した選択的細胞ノックアウト法を遂行し、現在その症状解析を行っている。3)については、成長板由来のHhシグナル受容細胞からのRNA抽出に難渋しており、当初の計画から遅れが生じている。速やかにRNAシークエンスによる網羅的な遺伝子発現解析へと移行すべく、RNA抽出方法を再検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した本研究課題のspecific aimと掲げた3つの項目のうち、1)については達成、2)については遂行中である。3)については、技術的な問題でやや遅れ気味ではあるが、改善傾向にあり期間内に研究成果を得ることができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進行している。その研究成果としてすでに、査読付き国際学術雑誌において、責任著者として論文発表を行った。当初の計画に従い、研究を遂行する予定であり、現時点での計画変更は考えていない。
|
Causes of Carryover |
当該年度に予定していた解析の一部を、次年度に持ち越すことになったため、次年度使用の当該助成金が発生した。翌年度に解析を行う予定であり、使用計画については大きな変更点はない。
|
Research Products
(9 results)