2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of developmental mechanisms of motor neurons that innervate the avian cucullaris muscle
Project/Area Number |
18K06835
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
八木沼 洋行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90230193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向笠 勝貴 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60706349)
本間 俊作 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20261795)
渡邉 裕二 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80301042)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 副神経 / 僧帽筋 / microRNA-9 / Robo3 / ニワトリ胚 / 水疱口炎ウィルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2018年度に、僧帽筋を支配する脊髄副神経細胞(SAN)の背方への移動が、microRNA-9 (Mir9)の強制発現によって妨げられることを明らかにした。さらに、Mir9強制発現でRobo3が、通常より早期に発現することがわかり、これが細胞の移動に影響を与えたと考えられた。2019年度は、Mir9とRobo3をつなぐ因子の特定を試みた。しかし、Hes1, Hes4, Sim1などの候補遺伝子の強制発現やMir9の機能阻害実験を行ったが、Robo3の発現には影響が無く、因子の特定には至らなかった。一方で、Robo3の発現制御を調べるため、Robo3遺伝子座の非コード領域で、種間保存性が高く、Nkx2-2, Olig2, Neurog2など重要な転写因子の結合配列を有する領域を単離し、GFPをレポーターとしてつなげ、ニワトリ胚の発現系でエンハンサー活性を調べたところ、内在性のRobo3の発現をほぼ再現する転写制御能を有する領域であることを見いだした。また、Robo3発現の詳しい解析から、V3介在神経の一部でしか発現していないことがわかり、V3介在神経には少なくともRobo3+細胞とそれ以外の2種類存在することが示唆された。 標本の透明化技術を用いて、ニューロフィラメントの免疫染色を行ったニワトリ胚の全載標本の観察を行ったところ、脊髄副神経の脊髄外への軸索伸展は孵卵3~3.5日ごろに起こることが明らかとなった。 SANに関わる神経回路網の発達を明らかにするため、経シナプス的な標識が可能となる順行性及び逆行性トレーサーとして組換え水疱口炎ウィルスベクターの開発を試みた。その結果、順行性のトレーサーの開発に成功した。現在、逆行性トレーサーの開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Mir9とRobo3そして僧帽筋を支配する運動神経の移動との関係について、それらをつなぐ因子の解明を目指したが、候補となる分子を特定するには至らなかった。しかし、(1)Robo3の発現制御に関してエンハンサー領域と思われるゲノム部位を同定することに成功していること、(2)従来すべてのV3介在ニューロンにRobo3が発現していると思われてきたが、少なくともRobo3を発現しない細胞もあることを明らかにするなど、今後のRobo3やV3介在ニューロンに関する研究において大きな足がかりとなるものであり一定の成果は上がったものと考えている。ただ、これらは本研究のテーマである僧帽筋を支配する運動神経の発生機序の解明の範疇からは外れてきていることも否めない。今後は、本研究のテーマに即した研究の推進も大いに図る必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究成果として脊髄副神経(SAN)の発達の時期についての詳細が明らかとなったので、これに基づき、順行性標識法を用いてSANの軸索の伸展様式を明らかにする。さらに器官培養法を用いて、SANの軸索伸展様式のライブイメージングを試みる予定としている。 また、現在開発中の経シナプス的標識が可能となる逆行性トレーサーを応用して、脊髄副神経(SAN)に関係する神経回路網の解明を試みる。このためには、ニワトリ胚の僧帽筋にトレーサーを打ち込み、数日後に固定し、脊髄や脳幹内で逆行性に標識された神経細胞を観察する。 さらに、2018年度までに明らかにしているSANにおけるHox分子の異なる発現パターンの意義について解明を行う。我々はSANではHoxA5は発現しているもののHoxC5は発現していないことを見いだしている。SAN以外の頚髄の運動ニューロンには両者とも発現しており、SANにおける発現の違いがどのような意義を持つのか強制発現系を用いて調べる予定である。さらに本来頚髄には発現しない異所性のHox分子(Hox6, 7, 8など)の強制発現が及ぼす影響も調べることとしている。
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