2018 Fiscal Year Research-status Report
小腸特異的エクソソームの同定と新たな腸免疫制御の解明
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18K06838
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
上田 祐司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10364556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 十志也 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (20396930)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小腸特異的エクソソーム / 腸リンパ / ラット / DC subset / EAE |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究初年度である本年はまず、小腸エクソソームの単離法の確立を目指した。腸より排導されるリンパ液が直接胸管に流入するようにあらかじめ腸リンパ節を除去(MLNx)したLewisラットを用いて胸管カニュレーション法により腸リンパを採取した。コントロールは開腹のみ(MLNx無し)の腸リンパとした。これらを出発材料に市販のキットを用いて腸エクソソームの単離を試みたが、収量および純度が共に予想より低かった。腸リンパには食餌由来成分によるキロミクロンやリポタンパク質が含まれるが、このうち高比重リポタンパク質HDLにはmicroRNAを内包するため、腸エクソソームとHDLの分離は本研究において極めて重要であると考えられた。現在、密度勾配超遠心法とリポタンパク質除去キットを活用し、並行して食餌成分の検討も行いながら、腸エクソソーム単離法の最適化を進行中である。 2. 実験計画4にて行う、実験的自己免疫性脳炎(EAE)モデルを用いた実験系のセットアップを実施した。現有するラットEAE T-cell line(Lewisラット由来)を、抗原であるミエリン塩基性タンパク質、同系ラットの胸腺由来フィーダー細胞と共培養した。数日後にIL-2を添加後、リンパ節由来のフィーダー細胞と共にIL-2およびCD28 superagonist抗体の存在下で培養することで再現よく活性化T-cell lineを誘導する事に成功した。現在、これをラットに細胞移入して病態解析中である。 3. アロ免疫応答におけるホスト樹状細胞(DC)の研究過程でドナー抗原を含むエクソソームを産生、受容することが強く示唆されるDC亜群3つを同定する事に成功した(本年度に論文受理)。3つのDC亜群はフローサイトメトリーで単離可能な事から、エクソソーム産生・受容機構の解析に適しており、本研究を推進する上で非常に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 申請時に立案していたエクソソーム単離法では、腸エクソソームの収量・純度が不十分であり、改良を要するため。 2. 本研究課題とは異なるプロジェクトの論文投稿・リバイスに多くの時間を要した。しかし、その過程で本研究に極めて重要な現象を見出し、その解析にも時間を要したために結果的に申請時に立案した計画の遂行に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 研究二年目は早々に小腸エクソソーム単離法の最適化を見出し、これに高発現する分子種の探索に着手する。 2. エクソソーム関連抗体は入手済みであり、組織内局在を速やかに解析する。 3. 計画三年目には腸免疫がはたらくモデル動物より腸エクソソームを単離解析する。これに備えるべく前年度同様に、もう一つの解析系である食物アレルギーのモデルラット確立を並行して進める。 4. 単一抗原をエクソソームとして産生・受容するDC亜群の解析は、本研究に密接に関わるので更に詳細な解析を進める。
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Causes of Carryover |
初年度の研究計画の遂行にやや遅れを生じたために次年度使用が生じた。これらの助成金はまず出遅れていた最適な腸エクソソーム単離法の確立、続いて関連分子の探索と、計画通りに逐次使用してゆく。
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