2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on developmental stage-dependent responsiveness of cerebral cortical neurons to netrin-1
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18K06839
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
松本 英子 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00312257)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経回路形成 / 大脳皮質ニューロン / 軸索ガイダンス / 軸索側枝形成 / ネトリン-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
多機能性の軸索ガイダンス因子ネトリン-1に対し発生期の齧歯類大脳皮質ニューロンが示す反応には軸索伸長と軸索側枝形成が知られる。過去の我々の研究で、胎生14日(E14)マウス大脳皮質由来のニューロンを培養5日目(5DIV)にネトリン-1で刺激した際には軸索伸長、E16ニューロンでは側枝形成が促進され、ネトリン-1に対する反応が発生段階で異なることが示された。しかしながらこの培養系が種々の細胞集団を含むことを考慮すると、これは大脳皮質ニューロンを総体として捉えた際の反応に過ぎないともいえ、ある細胞集団が性質を変化させたことを示すものか否かは不明であった。本研究課題では大脳皮質ニューロンのネトリン-1に対する反応が発生段階に依存する機構の解明を目指して、生体内で軸索側枝を生ずる各細胞集団がネトリン-1に対し軸索伸長/側枝形成反応を示すか、初代分散培養を用いて調べた。 大脳皮質ニューロンのサブポピュレーション中、まず注目したのは、線条体や橋などに軸索側枝を送る皮質脊髄路ニューロンである。E16+5DIVにおいてネトリン-1による処理を行った際、一次軸索の長さ、分岐数・密度に有意な変化は認められなかった。 次に注目したのは脳梁交連ニューロンである。その対側皮質への投射は軸索側枝より形成され、このとき一次軸索では分岐よりも先端の部分が消失する。脳梁交連ニューロンのうちの約80%を占めるⅡ/Ⅲ層ニューロンではE16+5DIVにおいてネトリン-1依存的な軸索側枝形成が認められ、これがE16大脳皮質ニューロン総体で観察されていた側枝形成を担うサブポピュレーションの一つであることが示唆された。 さらに本年度は、ネトリン-1の他にBDNFにも軸索側枝形成を促進する作用が知られることから両者に対する反応の比較を試みたところ、Ⅱ/Ⅲ層脳梁交連ニューロンでは両者に応じ軸索分岐数・密度の増加がみられた。
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