2018 Fiscal Year Research-status Report
髄鞘形成と維持におけるリソソーム膜タンパク質LAMTOR1の役割
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18K06843
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
砂堀 毅彦 順天堂大学, 医学部, 助教 (00407115)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中枢神経系 / 髄鞘形成 / オリゴデンドロサイト / 細胞分化 / LAMTOR / mTOR |
Outline of Annual Research Achievements |
オリゴデンドロサイトによる髄鞘形成は中枢神経系における情報伝達の効率化にとって重要である。現在までに、個体及び細胞を用いた研究によりオリゴデンドロサイトの分化にはmTORシグナル経路、MAPK/Erkシグナル経路の関与が示唆されているが、その分子機構に関しては不明である。従来分解の場として捉えられていた後期エンドソーム/リソソームは近年の研究によりシグナル伝達にも重要な役割を果たすことが明らかになっている。後期エンドソーム/リソソームに局在する膜係留タンパク質であるLAMTOR1はmTORシグナル、MAPK/ERKシグナルのいずれの活性化にも重要な役割を果たすことより、本研究では、中枢神経系特異的なLAMTOR1遺伝子欠損マウスを作製し、その解析をおこなった。 結果、LAMTOR1遺伝子欠損マウスは生後15日前後で振戦、癲癇様発作を呈して致死となることが分かった。また、形態解析により、ニューロンの分化、軸索進展、オリゴデンドロサイトの分化には大きな変化が認められなかった一方で、中枢神経系全般にわたって髄鞘形成不全が確認された。詳細な解析により、オリゴデンドロサイト前駆細胞の誘導、移動には影響がなかったものの、オリゴデンドロサイト前駆細胞の増殖及び分化が顕著に抑制されていることが明らかとなった。また、その際、MAPK/ERKシグナルには変化が認められないにもかかわらず、mTORシグナルは有意活性が抑制されていた。 以上の結果より、オリゴデンドロサイトによる中枢神経系における髄鞘形成にはLAMTOR1を介したmTORシグナルの活性化が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、初年度の目標であるLAMTOR1を介した中枢神経系における髄鞘形成機構を明らかにし、論文投稿準備中である。また、次年度の目標であるMRIを用いた拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Image; DTI)の解析による、脱髄の高解像度かつ定量的な診断も予定より早く進展している
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究室、動物施設の移転に伴い、若干の予定の遅延はあったものの、データ整理及び論文執筆に充てた。 今後の研究に関しては引き続き予定通り進められる。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究室、動物施設の移転に伴い、若干の予定の遅延はあったものの、データ整理及び論文執筆に充てた。 次年度の研究に関しては引き続き予定通り進められる。
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