2018 Fiscal Year Research-status Report
The contribution of the neural crest cells in developing lateral line scale in the teleosts.
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18K06844
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
重谷 安代 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70431773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Osteichthyes / Polypterus / neural crest cell / Latimeria |
Outline of Annual Research Achievements |
<硬骨魚の鱗と感丘の再生過程における関係性の検討について> 1. ポリプテルス成魚の側線鱗と通常鱗の異所性交換移植のための準備を整えた。予備実験では、3ヶ月で生着すること、技術的に十分実施可能であることが分かった。ただし、鱗を覆う表皮(および感丘)を出来るだけ傷つけないように鱗同士の強固な結合を外せるかが課題となった。 2. インドネシア産シーラカンスの側線鱗の組織切片を作製し観察したところ、露出部のみにエナメル質および象牙質の硬組織と色素細胞が存在しており、そこを通るように側線管の孔が開くことが明らかとなった。また感丘に繋がると思われる神経束が観察されたことから、トンネル型側線感丘が存在することはほぼ間違いない。これは線画のみの報告に留まった Millot and Anthony (Anatomie de Latimeria chalumnae Tome II, 1965) による知見よりも実態の伴った結果といえる。 3. ポリプテルスの鱗には、エナメル質の下に象牙質も島状に存在することが、偏光フィルターを用いた微分干渉顕微鏡観察により明らかとなった。これは既報の白亜紀のガーObaichtys (Brito, et al., 2000) の鱗に酷似している。従ってポリプテルスの鱗は、白亜紀のガーや現存のシーラカンスと同様に、コズミン鱗を持つことが明らかとなり、従来の教科書に書かれているような鱗による形態的分類は修正が必要になった(2, 3項について日本分子生物学会2018にて発表)。つまり、ポリプテルスは我々が思うよりもシーラカンスに近いかも知れない。 4. ポリプテルス感丘細胞を標識する分子マーカーは限られているのだが、蛍光化学物質を用いて簡便に標識できることが分かった。これは今後の実験に大変意味のある事柄である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水棲動物室のある建物の改築工事、新規棚の設置、および新規購入したポリプテルス成体の寄生虫駆除に一年弱を要したが、現在はシステマティックに交配可能な状況となっている。この一年間は胚をあまり用いない実験を中心に進めたことから、全体的には概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は規模拡大した繁殖群による胚を用いた実験を速やかに実施する。トランスジェニック魚および目的遺伝子のゲノム編集魚の作製を行う。また一方で、ポリプテルスで用いることのできる分子マーカーが限られているために、その探索を続けながらも、蛍光化学物質の取り込みによる感丘有毛細胞の標識も大いに活用して遺伝子改変体の解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた脱灰装置の購入が決定予算額では不可能になったために、冷却装置のみの購入に留まり、その分の差額が生じたことが大きい。新規購入した成魚の寄生虫駆除処理で死亡した個体が多かったため、それを補充するための費用や水槽やろ過装置などの設備を整えるために使用する。 他は計画書通りに使用する。
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