2022 Fiscal Year Annual Research Report
The contribution of the neural crest cells in developing lateral line scale in the teleosts.
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18K06844
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
重谷 安代 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70431773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポリプテルス / 神経堤細胞 / メラニン芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 実験発生学的な鱗形成への神経堤細胞の関与に関する検討について ポリプテルスの側線感丘形成に関与する神経堤細胞は背側経路を通ると考えられたため、その背側経路を阻害する目的で、初期神経胚の神経堤外側に細切した絶縁フィルムを挿入する顕微手術を行なった。この背側経路は、ヒトやマウスでは色素細胞になる神経堤細胞が通ることで知られている。フィルム挿入6時間後の尾芽胚期にサンプリングを行い、PsSlug遺伝子発現についてwhole-mount in situ hybridization法を施したのち凍結切片の作製をして確認してみたところ、背側経路の神経堤細胞を遮断することが確認できた。なお、フィルム挿入後の胚に時間と熱を掛けて分子マーカーの発現を調べることは非常に気を遣い困難を伴うことから、PsMitf遺伝子の調節領域にEGFPをつないだコンストラクトを作製し、メダカTol2発現システムをポリプテルスに応用することにした。なおポリプテルスのMitf遺伝子の調節領域については詳しく調べられていないため、マウスやヒトとゼブラフィッシュの配列を参考にしてプロモーターの上流790bpほどのSox10、Pax3、CREB結合配列を含む領域を用いた。このコンストラクトとトランスポザーゼmRNAをポリプテルス受精卵に顕微注入した後に、神経胚でフィルム挿入実験を施すことで、そのまま神経堤細胞移動の阻害効果を調べることができるのである。
2.研究期間全体を通じて実施した研究の成果 エナメル含有鱗を有する唯一の実験可能な条鰭類ポリプテルスの生きた胚を用いた実験を実施した。側線感丘は水平中隔に沿った表皮上に形成され、一方で側線鱗はその直下に存在する。この両者の形成に関与すると考えられる神経堤細胞は、PsSox10遺伝子を発現し背側経路を通る細胞群であることから、実験発生学的にこの細胞群特異的に移動阻害するため絶縁フィルムを神経管外側へ挿入し、分子マーカーを用いてその効果を確認した。
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