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2018 Fiscal Year Research-status Report

造血微小環境におけるストローマ細胞の構成様式と造血支持機能

Research Project

Project/Area Number 18K06846
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

相沢 信  日本大学, 医学部, 教授 (30202443)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords細胞・組織 / 老化促進マウス / マクロファージ / ストローマ細胞 / 三次元培養 / サイトカイン / 造血微小環境 / 細胞周期
Outline of Annual Research Achievements

造血現象は造血幹細胞という「種」が、造血微小環境という「畑」において育つ過程を示すものである。本研究は畑である造血微小環境の構成要素としてのストローマ細胞に注目し、これら細胞が実際にどの様に造血幹細胞の増殖・分化に関わりを持って機能しているかをin vivo標本を用いて解析し、さらに三次元培養法を用いたin vitroの面からも検証することにより造血制御機構を解明することを目的としている。今年度はストローマ細胞に機能障害を有する老化促進モデルマウス(senescence-accelerated mice:SAM)と正常マウスとの比較検討により、外的ストレス(LPS投与)時のストローマ細胞、特にマクロファージの亜群の存在様式を経時的に観察し、造血制御機能の解析を行った。SAMは正常マウスに比較して、骨髄における炎症反応の誘導機能を有するM1マクロファージ、逆に抗炎症機能を有するM2マクロファージそれぞれ亜群の構成に有意な差は認めないが、LPS投与後にはM1優位に細胞比率が変動し、炎症が遷延する結果が得られた。この結果はストローマ細胞を介した生体の恒常性の破綻が造血器障害の一因となっていることを示唆するものであると共に、マクロファージへの血球分化誘導機序にも異常を有することを示している。ストローマ細胞による造血制御は三次元培養を用いたin vitroの実験でも再現された。特に造血幹細胞はストローマ細胞により細胞周期の制御を受けている結果が得られた。SAMにおいてもこの制御機構自体は確認されたが、外的ストレスの際には制御が破綻し、恒久的に造血現象が維持されるために必要な造血幹細胞の細胞周期バランスに混乱が生じていることが明らかとなった。これらの結果よりストローマ細胞は環境変化にも対応しながら恒常性を維持するために、造血制御の主役として機能していることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請書に記載した実験計画通りに進行しており、遅滞、変更等は現時点では特にない。平成30年度は研究の基礎としてin vivo、in vitroにおけるストローマ細胞の観察、培養法を確立し、特に三次元培養はin vivoでの造血現象を反映する極めて有効な手段であることを確認した。またin vivoでは、複数からなるストローマ構成細胞を個別に認識する方法も確立し、ストローマ細胞機能障害モデルマウスであるSAMと正常コントロールの比較の基礎的検討はすでに終えている。またマウスでは骨髄、脾臓と異なる造血器官が機能しているが、それぞれ独立した特性を有することにより個体としてのバランスが保たれている。骨髄、脾臓と器官固有の造血動態についてもSAMと正常マウスとで比較検討を開始している。当初の計画にしたがって、平成31年度に向けて研究は順調に進行している。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度はin vivoおよびin vitroでの造血 微小環境の役割についてさらに検討を重ね、造血微小環境の造血幹細胞周期の制御機構の詳細を検討する。このためにLPS投与など外部刺激によるストレス下におけるマクロファージ、線維芽細胞、脂肪細胞などストローマ構成細胞それぞれの存在様式および量的、質的動態の変化を免疫組織染色、フローサイトメトリーを用いて検討し、構成細胞それぞれの機能的特性を明らかとする。また造血幹細胞を保護し、個体としての恒常性を維持するためのシステムの存在については細胞周期変動の詳細をさらに検討し、ストローマ由来の造血細胞周期関連因子の特定を行う。そのためにストローマ細胞を個々に分離、純化して培養し、サイトカインなど液性因子の産生などについて観察する方法を作製中である。令和2年度には研究最終年として、三次元培養、ストローマ細胞分離培養法を用いて、ストローマを構成する細胞個別の特性を検討し、造血現象に果たす役割を明確化する。なお平成30年度研究よりストローマ細胞の解析のためのin vivoおよびin vitro実験の基礎的実験成果は得られており、平成31、令和2年度実験に向けて順調に研究は進行中である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019 2018

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 造血制御システムの破綻と老化2019

    • Author(s)
      原田智紀、相澤信
    • Organizer
      第124回日本解剖学会総会全国学術集会
  • [Presentation] Chemosennsitivity study in a model of simulated bone marrow: three-dimensional culture system2018

    • Author(s)
      Harada T, Tsuboi I., Aizawa S
    • Organizer
      第80回日本血液学会学術集会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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