2020 Fiscal Year Annual Research Report
A physiological role for Neuromedin U in the hippocampal neuronal network and the application
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18K06858
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
濱田 幸恵 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (00399320)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経ペプチド / ニューロメジンU / 海馬 / 電気生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューロメジンU (NMU)は末梢組織や中枢組織に広く分布することが知られている。これまでNMUの機能解析がされ、中枢組織においては摂食抑制作用、概日リズムの調節、ストレス応答の制御、学習改善作用などが報告されている。しかし、海馬CA1野内におけるNMU受容体の発現細胞の詳細や生理機能については明らかになっていない。そこで、本研究では、海馬CA1野におけるNMU受容体の発現局在を明らかにするとともに、海馬スライス標本を用いてNMUのシナプス応答に対する影響を明らかにすることを目的とした。
海馬CA1では、NMU受容体は神経細胞多くに発現していた。海馬スライス標本を用いてCA3-CA1シナプスにおけるfEPSPのNMU灌流下による影響を検討したところ、fEPSPの振幅はNMU処置群で有意に高かった。このfEPSPを測定したスライス標本を用いてc-Fos陽性細胞の数を検討したところ、c-Fos陽性細胞の数はNMU処置群で有意に高かった。さらに、c-Fos陽性細胞と共発現するニューロンの割合は有意な変化は見られなかった。しかし、c-Fos陽性細胞と共発現するGABAニューロンの割合は有意に少なかった。スライスパッチクランプ法を用いてEPSCを測定したところNMUの灌流前後でEPSCの大きさに有意差が認められなかった。EPSC測定の際と同じ大きさの刺激を用いてIPSCを測定したところNMUの灌流によりIPSCの振幅に有意な減少が認められた。
以上の結果から、NMUはGABAニューロンの活動を抑制することにより、海馬CA3野から海馬CA1野への興奮性シナプス伝達を増強することが考えられた。海馬におけるシナプス可塑性は記憶や学習に関わると考えられており、今回のNMUによるfEPSPの増強は海馬の可塑性に影響し、記憶や学習の機能に関与すると考えられる。
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